カテゴリー: MUSEUM

  • 金氏徹平「記号は記号ではない」- 上野の森美術館ギャラリー

    金氏徹平「記号は記号ではない」- 上野の森美術館ギャラリー

    金氏徹平「記号は記号ではない」を上野の森美術館ギャラリーで観てきました。

    そもそもはVOCA展と一緒にやっている企画なんですが、VOCA展の方は写真もNGだし、内容もなんとなく微妙というかまとまりがないというか、ある意味いつもの感じだったので記事は書かないことにしてこちらの方だけ書くことにしました。金氏さんのファンなので。

    最近よく見るようになったモビール的な作品とリキッドを切り取った大きな立体作品、漫画のようなものを重ねた作品や、時々見るソフトスカルプチャー的な作品とあまり見たことがない石や地味な色のものを重ねた彫刻というような様々なものがある展示でしたが、いつも通り作品としては何かと何かを出会わせて掛け合わせることで新たな形や作品を産んでいるようなものたちでした。

    その組み合わせというか、掛け合わせのバランスが絶妙でPOPでもあり、作品らしさがでているという部分で面白いです。作品のコンセプトの部分はしっかり作っているんですが、個々のパーツはいろいろなところから拾ってきていて、タイトル自体にも「記号は記号ではない」©松田青子となっているところからしても、うまくパーツを拾い集めて組み合わせるREMIXのようなところが面白いです。REMIXというか、それに金氏エフェクトがかかってる気もするからDUB MIXに近いかも?(まあREMIXとDUBMIX似たようなものという話もありますが・・・)

    出会わせるとはいえ、これは謎だった。何か出会ってる感はあるけど。脱力感もすごいというか。何故、猫と石・・・。笑。この作品は置いておくとしても、最近ART FAIR TOKYOとかSatoko Oe Contemporaryでも見ていましたが、まとまった展覧会という感じがして良かったです。

    そういえば、丸亀でみたメルカトルメンブレンの図録、まだ届いてないな。

    PHOTO

    BOOK

    OTHER

  • コンタクト・ゴンゾ「フィジカトピア」- ワタリウム美術館

    コンタクト・ゴンゾ「フィジカトピア」- ワタリウム美術館

    コンタクト・ゴンゾのフィジカトピアをワタリウム美術館で観てきました。

    身体と身体のぶつかり合いの中に普段忘れている暴力的な雰囲気も含めたストリート感のあるようなパフォーマンスや物の作成を中心にしているというイメージが、コンタクトゴンゾには強いです。なので展覧会となるとコンタクトゴンゾのパフォーマンス部分が抜けてどうなるかと気になる部分がありました。

    そんな中、いろいろな情報をみていたらボールをぶつけられる作品があるということがわかって、これは行かなくてはいけないのではないかという気になって行ってきました。

    もともとビジュアル面でもNAZEさんというストリートな絵を描ける人がいるので、ビジュアル的にもしっかしていて、全体的に男っぽさや危なさみたいなコンタクトゴンゾの雰囲気を人間がそこにいなくても、表しているという面白いものになっていました。(逆に動画でパフォーマンスを流しているものは本物のパフォーマンスを見たことがあるだけに、物足りなさもありましたが。やはりパフォーマンスは目の前で見ないとダメですね)

    注目していた「黒い家の庭」という作品は、そのボールがぶつかるまでの緊張感と実際にぶつかった時に少し痛い(配られた上にも注意で書いてある。笑)という、これがコンタクトゴンゾに触れたような気がしてすごく良かったです。展覧会内容にあるように「殴られてるのに笑える。 Punching,」という感じ。なんだかボールをぶつかって痛かったという体験を共通に持っている人たちと妙な連帯感が生まれた気すらしました。

    パフォーマンスだけでなく展示もできるんだなぁと思ったのですが、こういうのはなかなか普通の美術館ではできなさそうだなと思い、さすがワタリウムとも思いました。とにかくいい展示でした。またそのうちどこかで次をみたいな。

    ついでですが、以前に撮ったパフォーマンスの動画貼り付けておきます。

    PHOTO

    BOOK

  • 宮島達男「Counter Void」Relight Project 2017 – 六本木ヒルズ

    宮島達男「Counter Void」Relight Project 2017 – 六本木ヒルズ

    宮島達男さんの「Counter Void」のRelight Project 2017を観てきました。

    電力を使いながら点灯されていた、Counter Voidが2011年に消えてから、震災の記憶をどのように捉えていくかが問われているような気がします。東京人々の記憶から薄れ始めてきているのではないか?それを改めて考えさせるのがRelight Projectなのかなと思います。

    個人的には、Counter Voidが点灯していた時期を知っていて、あの角で作品が光っているということが当たり前でした。そのなかで光が消え、そして再点灯。懐かしいなという感覚と、以前は当たり前だったことがもう当たり前ではなくなっているのだなという再認識をする機会になりました。

    BOOK

    芸術論
    芸術論

     

    posted with amazlet at 17.03.13
    宮島達男
    アートダイバー
    売り上げランキング: 110,204
    「宮島達男 解体新書」すべては人間の存在のために
    宮島 達男
    Akio Nagasawa Publishing
    売り上げランキング: 597,914
    宮島達男 Art in You
    宮島達男 Art in You

     

    posted with amazlet at 17.03.13
    宮島 達男
    エスクアイア マガジン ジャパン
    売り上げランキング: 592,318
  • アート+コム/ライゾマティクスリサーチ 光と動きの「ポエティクス/ストラクチャー」- インターコミュニケーションセンター

    アート+コム/ライゾマティクスリサーチ 光と動きの「ポエティクス/ストラクチャー」- インターコミュニケーションセンター

    アート+コム/ライゾマティクスリサーチ 光と動きの「ポエティクス/ストラクチャー」をインターコミュニケーションセンターで観てきました。

    アート+コムとライゾマティクスリサーチが一つずつ作品を展示し、各々の今までやってきた仕事の動画が流されているという展示でした。ライゾマもかなりアート+コムに影響を受けているというようなことが書かれていて、なるほどなーと思いながらアートコムの仕事とかを見ていたりしました。

    ライゾマは、鏡の直方体を動作させながら光を当てながら、それらの計算もしつつ仮想空間に同様の空間を作るような作品だったのかな?ELEVEN PLAYとかとスパイラルでやっていたVRの連携と近いようなものが置いてありました。さすがに動作するとなるほどと思いました。こういうものでつくられる体験はこれから多くなるような気もしますが、なかなかここまで出来る人もいないんだろうなという印象。

    アート+コムは作品としては難しくないんだけれども、完成した状態がとにかく美しい。向こう側にCYMで手前に反射してRGBが投影されてその反射/透過の板がモーターにより踊るように連携して動くという作品でした。技術ももちろん使っているんですが、それほど難しすぎずとにかく作品としての美しさがある作品でした。

    こうやって並べてみると両方ともメディアアートながら、技術と美しさの特徴の違いというようなものもあったし、ついでにTeamLabとかのことを想像してもやはり違うので、こういう作品がこれからたくさん作られフォロワーが出てきていろいろ発展すると面白いなぁと思いつつも、プロジェクションマッピングのような次の新しい一手が出る前にクオリティの低いものがでて消費されてしまうみたいなことがないといいなぁとも思いました。

    PHOTO

    BOOK

    ライゾマティクス (世界のグラフィックデザイン)
    ライゾマティクス
    DNP文化振興財団
    売り上げランキング: 460,252
    美術手帖 2017年1月号
    美術手帖 2017年1月号

     

    posted with amazlet at 17.03.09
    美術出版社 (2016-12-17)
    AXIS(アクシス) Vol.185 (2016-12-29) [雑誌]
    アクシス (2016-12-29)
    売り上げランキング: 110,321
    Art+Com: Media Spaces and Installations
    Joachim Sauter Susanne Jaschko Jussi Angesleva
    Die Gestalten Verlag
    売り上げランキング: 109,764
  • 草間彌生「わが永遠の魂」- 国立新美術館

    草間彌生「わが永遠の魂」- 国立新美術館

    草間彌生「わが永遠の魂」を国立新美術館で観てきました。

    草間彌生さんの初期の作品から現在の作品まで見ることができる大規模な展覧会なので、草間さんのことが気になっている方には確実に必見の展覧会なのかなと思います。会場の構成が非常に良くできているので、見飽きることなく観れておもしろかったです。

    まずはじめに入ってすぐに富士山の大きな絵があって、その部屋を抜けるとものすごく広い部屋に花の彫刻が3点と大量の新作があり空間と作品の数で圧倒されるようになっていました。個人的には新作は好きではないのですけども、あれだけの数で圧倒されると作品一つ一つのクオリティはともかく空間として圧倒されました。(新作の気の抜けたあれはなんなんですかね?もう年だからあんな感じなのかなぁ?中学生が書いたようなゲランとか永沢君とかいましたよ。笑)

    その後、初期の作品からになるのですが、ここからは写真が禁止だったのでちょっと残念したが、やはりNewYork時代の草間さんはすごいですね。Infinity Netみたいなネットの作品とかInfinity Mirror Room的な鏡の部屋の作品とか素晴らしいです。いわゆるカボチャの作品とかも有名ですけども、個人的には無限に繰り返すような作品が草間さんの素晴らしいところだと思います。そして、鏡を使った部屋との相性もいいし、インスタレーションが上手い人なんだなという印象もあるので、もっと無限ループみたいな作品は見たかったです。

    外のカボチャは、まあ写真スポットとして楽しいのでいいのですけども、シール貼るやつは、まだ白いところ残っていたから良かったけど、最期の方とかどうなるのかな?不安というか、心配になりました。昔ギャルソンのSIXでみた草間さんのブラックライトにシールのインスタレーションがよかっただけになんか微妙な気分に。

    ちなみに余談なのですが、ワシントンのHirshhorn Museum and Sculpture GardenでやってるInfinity Mirrorsみたいな展覧会が見たかったというか。この展覧会巡回しそうですねぇ。LAあたりでみたいなぁ。まあきっと無理だけれども。笑

    PHOTO

    BOOK

    草間彌生全版画1979‐2013
    草間彌生全版画1979‐2013

     

    posted with amazlet at 17.03.05
    草間 彌生
    阿部出版
    売り上げランキング: 260,326
    I LIKE MYSELF―わたし大好き (Infas books)
    草間 彌生
    INFASパブリケーションズ
    売り上げランキング: 282,587
    草間弥生永遠の現在
    草間弥生永遠の現在

     

    posted with amazlet at 17.03.05
    草間 弥生
    美術出版社
    売り上げランキング: 286,073
    草間彌生全版画集 All prints of KUSAMA YAYOI 1979-2004
    阿部出版
    売り上げランキング: 202,592
    YAYOI KUSAMA Furniture by graf:decorative mode〈no.3〉
    草間 弥生 グラフ
    青幻舎
    売り上げランキング: 36,750
    無限の網―草間彌生自伝 (新潮文庫)
    草間 彌生
    新潮社 (2012-03-28)
    売り上げランキング: 6,947
    水玉の履歴書 (集英社新書)
    水玉の履歴書 (集英社新書)

     

    posted with amazlet at 17.03.05
    草間 彌生
    集英社 (2013-05-17)
    売り上げランキング: 24,151
    草間彌生 (ヴァガボンズ・スタンダート)
    草間 彌生
    平凡社 (2014-08-18)
    売り上げランキング: 255,605
  • MOTサテライト 2017春 往来往来 – 清澄白河周辺

    MOTサテライト 2017春 往来往来 – 清澄白河周辺

    MOTが大規模改修により閉館中なので、清澄白河のアート度がかなり下がっているというか、もはやアートの街であったのも過去の話でコーヒーとかカフェの街になっちゃったんじゃないの?っていう雰囲気すら出ている気がして、アート好きで清澄周辺に住んでる身としては残念だなと思っていたところでしたが、今回はそのMOTが街に飛び出して、「MOTサテライト 2017春 往来往来」というイベントを開催して、久々にアートが充実した気がしました。

    基本的には、深川資料館通りを起点に一周するような形で様々な場所に点在する作品を見ていくというような感じで、今だと所謂地域アートというようなフォーマットの中に収まるような捉え方もできるようなイベントでした。

    作家はさすがMOTというようなメンツで豪華な作家陣。個人的には毛利悠子さんや、松江泰治さんはオススメです。毛利さんはさすがというような電気というか物理法則というか、そういうものを利用したダイナミックだけど繊細なアウトプットのある作品(写真)。

    松江泰治さんはいつもの松江さんの写真なんだけども、MOTやクローバー橋の作品を作っていたりとさすがMOTというか、なんというか。笑。どうしても地域アート的な方向にいくのか、それとも現代美術館が街に分散したという風に捉えるか、そういうなんというか、邪念がちらつくワケですけども。どちらにせよ無料でこれだけの作品があるので、行って損はないレベル。

    もちろん、作品を見ながらいろいろな清澄白河のスポット的なところもまわれるわけで、アライズコーヒーでコーヒーを飲んだり(ブルーボトルでもいいんだけども)、チーズのこえでチーズとかアイスを買ったり、アーティチョークチョコレートでチョコを食べたり(バレンタインまでは混んでるだろうけども)、そういうことしながら周るのはなかなか面白かったです。

    それにしても、これくらい街にアートが点在してれば面白いんだけどなぁ。どうしてもこういうイベントが清澄界隈であると丸八倉庫のことを思い出してしまう。現代美術館があるのだから、その近くにギャラリーがたくさんあるといいんだけどね。現代美術館的な役割を森美術館に奪われてしまっている気がするから、MOTも休館だけどいろいろイベントやってくれると嬉しいという意味でも今回はいいイベントだったなと思いました。Satoko Oe ContemporaryとかHARMAS GALLERYとかANDO GALLERYとか無人島ギャラリーとか合わせて行くのをかなりオススメ。

    PHOTO

    BOOK

    松江泰治 jp0205
    松江泰治 jp0205

     

    posted with amazlet at 17.02.11
    松江泰治
    青幻舎
    売り上げランキング: 265,735
    TYO-WTC
    TYO-WTC

     

    posted with amazlet at 17.02.11
    赤々舎
    売り上げランキング: 264,346
    JP-01 SPK
    JP-01 SPK

     

    posted with amazlet at 17.02.11
    松江 泰治
    赤々舎
    売り上げランキング: 264,981
    cell
    cell

     

    posted with amazlet at 17.02.11
    赤々舎
    売り上げランキング: 1,097,528
    世界・表層・時間
    世界・表層・時間

     

    posted with amazlet at 17.02.11
    NOHARA(ノハラ)
    売り上げランキング: 263,975
  • ライアン・マッギンレー「BODY LOUD!」- オペラシティアートギャラリー

    ライアン・マッギンレー「BODY LOUD!」- オペラシティアートギャラリー

    ライアン・マッギンレーさんの「BODY LOUD!」を東京オペラシティーアートギャラリーで観てきました。

    ほとんどがヌードの写真なんだけれども、まあそんなことは特に気にならないというような躍動感と色彩感覚に溢れた作品でした。それは被写体の生き生きとした表情や動き、カラフルな背景などにいたるまで全てに関して感じる部分であり、そこはやはり共通しているというか、それが作家性なんだろうなと思いました。

    想像できない動きのようなものや、表情、自然やカラフルな色彩の中に投入される肌色など、写真として力強い画力いうべきなのか、それはよくわからないところではあるのですが、その勢いと圧力が押し寄せてくるので全体的にそれほどボリュームのある展覧会ではなかったのですが、作品の印象が強く残る展覧会でした。

    PHOTO

    BOOK

    Ryan McGinley: Way Far
    Ryan McGinley: Way Far

     

    posted with amazlet at 17.03.08
    David Rimanelli
    Rizzoli (2015-10-20)
    売り上げランキング: 11,114
    Ryan McGinley: Whistle for the Wind
    Ryan McGinley: Whistle for the Wind

     

    posted with amazlet at 17.03.08
    Rizzoli
    売り上げランキング: 11,068
    You and I
    You and I

     

    posted with amazlet at 17.03.08
    Ryan McGinley
    Twin Palms Pub
    売り上げランキング: 14,876
    Ryan McGinley: The Kids Were Alright
    Ryan McGinley: The Kids Were Alright

     

    posted with amazlet at 17.03.08
    Nora Burnett Abrams
    Skira Rizzoli (2017-03-07)
    売り上げランキング: 11,325
  • 田中功起「共にいることの可能性、その試み」- 水戸芸術館

    田中功起「共にいることの可能性、その試み」- 水戸芸術館

    art_2016-03-21_005

    水戸芸術館で行われている田中功起さんの「共にいることの可能性、その試み」を観に行きました。噂ではビデオ作品で観るのに非常に時間がかかるということだったので、ある程度の余裕を持って行ったつもりだったんですが、結果5時間観ても全ては見れませんでした。チケット的には1回買うと3回入れるというチケットだったので、何回か行けばいいのですが、いかんせん水戸・・・。遠いので3回もいけないので、頑張ってみました。と言っても、飽きるというようなことは全くなく、5時間も美術館で一つの展覧会を観たのは初めての経験だったんですが、最後まで楽しく閉館にならなければまだ見れたと思います。

    art_2016-03-21_026

    基本的な部分はヘアカット以降の田中さんの作品の流れの中にあって、1つの作業を通常やらない人数で共同作業を行うことで、そこに立ち上がってくるコミュニケーションと人々の差異に個人ではない複数の人間となったときに考えるべきものを捉えるというようなものでした。しかし、今回は単純に1つの共同作業を自分の分野の中で行うわけではなく、6日間の共同生活という場に一般応募の人々を置くことでより社会に近い環境をつくりそこに立ち上がってくるものを見るという作品になっていました。そのほかにも「ピアノ」と「陶芸」の過去作品があるんですが、今回これについてはそれほど深く触れません。「ピアノ」は共同作業の成功、「陶芸」は共同作業の失敗という結末なんですが、特に結果は関係ないのかなと思ったりもします。

    art_2016-03-21_009

    今回の作品は、展覧会場に入るとルートは自由であり好きな順序でみるということになります。手前にあるものを飛ばして奥までいくということは通常しないので大体の順序は決まると思うのですが、たしかにみる順番としてはあまり気にしなくてもいいかもしれません。(比較的奥の部屋にあるインタビューはまあ前半に見ない方がいいと思いますが、流れでみれば特に問題ありません)一見、和気あいあいと「料理」や「陶芸」を楽しんでいるように見えたり、多少掴みづらい「朗読」や「社会運動にまつわるワークショップ」などや、白熱したがタイムアップになってしまう「ディスカッション」があるんですが、それぞれの中に思いがけない何かが潜んでいたりして、そこに至るまでのコミュニケーションのありかたが社会を映すという試みだったように思います。

    art_2016-03-21_021

    単に一つの作業から複数作業に変化させて社会を映しだそうとして、作品が変化した部分が2つあるように思えました。1つ目は、今までルールとして存在していた田中さんが結構画面に出てくることでルールではなくなっている気がしました。2つ目は、行った結果をフィードバックする形で「インタビュー」というコーナーがありそこで撮影や音響を含めた主要スタッフが全てインタビューを受けていることが変化していました。

    今まで田中さんが画面に出ないことで、暗に社会になっていたというか、何も言わないにせよルールであったと思うのですが、今回は画面に現れルールではなく、少し上の立場の人間程度の感じで存在していたことが驚きでした。6日間という時間の中で作品としてまとめるにはルールが必要だったのではないか?と思いましたが、今回は社会が立ち上がるかどうかもあったのでそのようなことになっていたのかもしれませんが、これが作品を複雑化させていたように思えます。

    また、「インタビュー」は今回の作品の中でかなり主要なコーナーでここで個人個人がどのような感情であったか、どういうことを考えているかが語られます。もちろん参加者のインタビューでこの瞬間はこういうことを考えていたとか、こういう風に捉えているとかわかるので、面白いし重要なのですが、撮影の藤井さんのコメントがいろいろ作品の核心をついていたようにも思えます。

    art_2016-03-21_023

    今回の作品では、おそらく社会の立ち上げには失敗していて、社会のような今回だけの特殊なシミュレーション環境が立ち上がり、それがいい悪いではないのですが、「社会の方は現代美術というものへの接続は必要としていないが逆説的に現代美術が社会を必要としていることがわかった」というような趣旨の藤井さんの言葉がこの作品をあらわしているようにも思え、今回のキーマンはインタビューをしていたアンドリューさんと撮影をしていた藤井さんなのではないかとインタビューパートをみながら思いました。

    とにかく、今までは1つの作業だった共同作業から、複数の作業が絡み合い共同生活へと変化した田中さんの作品は、これからより複雑化し少人数やシミュレーション内での平和や理想を実現する/実現に失敗するという作品になっていくのか、それとも単純化し別の方向になるのかこれからが楽しみです。日本の現代美術でとても重要な作家である田中さんの個展なので、これは必見だと思います。できれば6時間くらいはみた方がいいと思うけど、まあ最低でも3時間くらいは必要な気がしました。ちょっと長いからこればっかりはどうにかならないかな。苦笑。

    PHOTO

    BOOK

    Koki Tanaka: Precarious Practice
    Koki Tanaka: Precarious Practice

     

    posted with amazlet at 16.03.23
    Koki Tanaka
    Hatje Cantz Pub
    売り上げランキング: 23,553
    必然的にばらばらなものが生まれてくる
    田中 功起
    武蔵野美術大学出版局
    売り上げランキング: 76,094
    田中功起「質問する その1(2009-2013)」
    田中功起 土屋誠一 成相肇 保坂健二朗 冨井大裕 沢山遼 林卓行 片岡真実 西川美穂子

     

    売り上げランキング: 733,575

    The End of Summer
    The End of Summer

     

    posted with amazlet at 16.03.23
    田中 功起
    赤々舎
    売り上げランキング: 1,302,249
    KOKI TANAKA WORKS 1997-2007
    KOKI TANAKA WORKS 1997-2007

     

    posted with amazlet at 16.03.23
    田中功起
    Akio Nagasawa Publishing
    売り上げランキング: 1,179,962
  • 村上隆「村上隆のスーパーフラットコレクション」- 横浜美術館

    村上隆「村上隆のスーパーフラットコレクション」- 横浜美術館

    art_2016-03-03_051

    個人コレクション周辺が最近いろいろ賑わっている。いくつかのファッション系の社長さんとかがかなりのコレクションをしていて公開していたり、海外でも個人コレクションの美術館的なものができたりとか。

    art_2016-03-03_005

    そんな中、村上隆さんのコレクションが横浜美術館で公開されています。そしてそれがもう世界レベルのコレクションなわけです。大まかに分けて現代美術と骨董と現代生活陶芸の三本柱という感じのコレクションで、絵画等で近代以前のものは日本のもの(白隠とか)しかないという感じでした。

    art_2016-03-03_010

    トークショーを聞いてから、展覧会を見たのですが、見るだけではわからないことも沢山あったり、赤裸々にコレクションの値段とかを話したりしてくれたので、非常に面白かったです。村上さんレベルになると、自分の好みを理解するために沢山買ってみるというような方法を取っていてすごいなと。この展覧会に出す予定の作品も最初は400点くらいの予定だったようなのですが、結果的には1100点くらいというものすごい量の展示になっています。

    art_2016-03-03_011

    骨董は日本の国宝レベルのものもあったりするんですが、今日本の名品と言われるものは価値が下がってきているそうなので昔よりは買いやすい値段になってきているそうです。しかし、それでもお金があれば買えるというわけではなく、いろいろ騙されたり盛られたりしながら、売ってもいいかな?というところに来たそうです。それが北大路魯山人旧蔵の茶碗と鼠志野茶碗が並んで入口付近に展示されていて象徴しているようです。

    art_2016-03-03_022

    それとある意味連続しているようなのが、現代生活陶芸で、桃居や坂田から、魯山やうつわ祥見やうつわノートあたりで色々な作家さんを買っているようで、この辺りはそれほどコレクション展には多く出品されていなかったですが、たくさんコレクションがあるそうです。この現代生活陶芸も文脈やその売り手の思想を買う部分があり現代美術と近いという部分があるようです。

    art_2016-03-03_008

    ヴェネチアビエンナーレでミカロッテンバーグが出していた作品があったり、来場者がPOPな人体像をスケッチすることで完成するデイヴィットシュリグリーの作品などもあり、インスタレーションまでコレクションしているというすごさがありました。(個人的には奈良美智さんの像の後ろにキムゴードンのプッシーガロアがみえるのが結構ツボ)

    art_2016-03-03_055

    そして圧巻の現代美術コレクションは入口すぐの巨大なキーファーや李禹煥の部屋があり、ジャン・ホアンの巨大なスフィンクスのようなライオンのような像も、ものすごく巨大でいきなりやられる感じです。そこから奈良美智さんの馬車のような作品に流れるわけで、それはもうすごいわけですが、大竹伸朗さんや中村一美さんなどがあったり、ジェフクーンズやダミアンハーストがあったり、とにかく国内外のトップアーティストの作品がありました。

    art_2016-03-03_030
    art_2016-03-03_052
    art_2016-03-03_053

    そしてMr.の作品があるのはわかるけど、指差し作業員や小泉明朗さんの作品があったのはびっくりしたり。基本的にKaikaiKikiギャラリーやHidariZingaroで見たいようなものは全てコレクションに入っているところが、売れなかったら買っているというのか?好きだから呼んでいるのか?というところもありますが、それもやはりすごいと思いました。

    art_2016-03-03_038
    art_2016-03-03_043
    art_2016-03-03_045

    このコレクションをみて感じたところは現代アートは確実に抑えつつも、日本の古くからの骨董を持っていることや、現代生活陶芸を多く持っていることを含めて五百羅漢展で感じたサブカルチャーを通り越して古い日本との接続が見られるコレクションでありこの辺りが五百羅漢にも通じているところなんだろうなと思いました。

    このグチャグチャとした大量のコレクションが全て並列であるかのように考えることがスーパーフラット考え方の一部であるということが非常にわかりやすかったような気がします。森美術館と合わせて2つの展覧会をみることで、それぞれの展覧会単体ではみれなかったあらたなものが見えてくるような気がしました。これほどのコレクションをみることはなかなかないので面白い展覧会です。

    PHOTO

    BOOK

    村上隆の五百羅漢図展

    村上隆の五百羅漢図展

    posted with amazlet at 16.02.11
    平凡社
    売り上げランキング: 2,239
    美術手帖 2016年 1月号

    美術手帖 2016年 1月号

    posted with amazlet at 16.02.11
    美術出版社 (2015-12-17)
    Murakami: Ego

    Murakami: Ego

    posted with amazlet at 13.07.29
    Takashi Murakami
    Skira Rizzoli (2012-10-23)
    売り上げランキング: 41,694
    Murakami: Versailles

    Murakami: Versailles

    posted with amazlet at 13.07.29
    Philippe Dagen Jill Gasparina
    Editions Xavier Barral
    売り上げランキング: 69,434
    リトルボーイ―爆発する日本のサブカルチャー・アート
    村上 隆(編集)
    ジャパン・ソサエティー イェール大学出版
    売り上げランキング: 70,971
    SUPER FLAT

    SUPER FLAT

    posted with amazlet at 13.07.29
    村上 隆
    マドラ出版
    売り上げランキング: 240,147
    村上隆完全読本 美術手帖全記事1992-2012 (BT BOOKS)
    村上隆
    美術出版社
    売り上げランキング: 175,648
    TAKASHI MURAKAMI Post Cards Set:DOB
    TAKASHI MURAKAMI Post Cards Set:DOB

     

    posted with amazlet at 13.07.29
    村上 隆
    有限会社カイカイキキ
  • 村上隆「五百羅漢図展」- 森美術館

    村上隆「五百羅漢図展」- 森美術館

    murakami-03
    murakami-04
    murakami-05
    murakami-06

    久々にブログを復活させてみようとか思う。といっても、これを書くのもすごく時間がかかってしまったんだけど。まあ、なんか雑記みたいなものなので、誰がみてるかよくわからないけれども。それなのに書こうかなと思ったのは、日本での展覧会なんかもう二度とないと思っていた村上隆さんの展覧会が開かれているから。

    奇跡的とも言っていいことで、僕は絶対にないと予想していたので、カタールまでいって五百羅漢図をみたのが、四年前のことかな?

    IMG_8724

    その五百羅漢図がまさかの完全公開ということで、あれ?カタールまでいかなくても良かったかな?何て思ったりもしたけれども、行ってみて思ったのがカタールのやつは比較的回顧展的なもので、過去の作品もたくさんあったんだけど、今回の森美術館での五百羅漢図展はほとんどが新作のみで構成された展覧会でした。

    それにしてもカタールでみた五百羅漢図は完成してお披露目されてるし、カタールの最後でまだ白い模型のようだった彫刻も近色になって登場してた気がしました。(別の作品だったかも?カタールの最後の部屋がうろ覚え。Murakami EGO読まないとな。苦笑)

    IMG_8735
    IMG_8747
    IMG_8748

    森美術館によく行ってる人はわかってもらえるとおもうんですが、ここ三、四年の作品だけで森美術館をいっぱいにできる作品数や大きい作品があるということだけでもすごいです。しかも、New YorkのGagosianでやった個展の作品はほとんどはいっていないんじゃないかという。(余談だけど、Gagosianでやった時の山門をみたかった。)とにかく圧倒的な製作スピードであることが容易にわかるし、作品のクオリティーも高く、今後の展開も期待させる素晴らしい展覧会でした。(まあ、その背景にはブラック気味な血の滲むような製作があるわけだけれども)

    IMG_8772
    IMG_8770
    IMG_8773
    IMG_8774
    IMG_8733

    五百羅漢図を中心に構成されていて、その背景の文脈や流れや製作方法まで展示されていて、雑誌の企画での辻惟雄さんとのやりとりの中から五百羅漢図までたどり着くまでの作品や、ベースとなる狩野一信の五百羅漢図も展示されているという丁寧さ。普段文脈など気にしないでみている日本の人達にこんなに丁寧にわかりやすくしてくれるとは、と思いつつも、それだけでは部分であるというのも事実。

    IMG_8842

    作品を見ればわかることだけれども、マクロでみてもミクロでみてもどこかに面白さがあり、飽きさせないための出来事がある感じなので、全くその絵を完全に見れた気がしない。じっくりと何時間もみることでやっと把握できるようになるのかもと思うほど。とにかく書き込んでいる。たくさんのフックがあるというすごい熱量の作品なのだが、それが普通であり、それを大量に作っているのだから、昔の作品をみて批判している人たち見た方がいいよという感じ。

    IMG_8841
    IMG_8851
    IMG_8854
    IMG_8786
    IMG_8796

    だいたい批判的な人達はlonesome cowboyあたりで止まっているわけで、いつの作品だよという気がしてしまうわけです。今のRadiohead評価するのにbendsがあんまり良くないとか言われてもな。みたいな。とはいえ、DOB君とかも登場していて原形がないくらいに変化していまっているものの昔からの面白さもあって楽しかった。

    IMG_8779
    IMG_8780
    IMG_8783
    IMG_8785
    IMG_8782-2
    IMG_8781
    IMG_8787
    IMG_8784
    IMG_8739

    たしかにアニメやオタク文化をベースに使っているけれども、もはやそれだけではないし、仏教とか日本画とか大きく日本文化に接続するようになった作品達はもはや圧倒的といっていいと思います(まあ、村上さんはもともと日本画科でてるはずだけれども)。そして最後にかなりの人が馬鹿といわれてしまうのだけれども。それもまた村上隆さんだなという印象。とにかく流石世界で評価されているアーティスト。好きであろうが無かろうが見もせずに批判はできないし、アーティストなら見るべきではないかと思います。もう二度と日本での展覧会はないかもしれないので、必ず見るべき、つまり必見の展覧会でした。

    MOVIE

    PHOTO

    BOOK

    熱闘! 日本美術史 (とんぼの本)
    辻 惟雄 村上 隆
    新潮社
    売り上げランキング: 110,036
    村上隆の五百羅漢図展

    村上隆の五百羅漢図展

    posted with amazlet at 16.02.11
    平凡社
    売り上げランキング: 2,239
    美術手帖 2016年 1月号

    美術手帖 2016年 1月号

    posted with amazlet at 16.02.11
    美術出版社 (2015-12-17)
    Murakami: Ego

    Murakami: Ego

    posted with amazlet at 13.07.29
    Takashi Murakami
    Skira Rizzoli (2012-10-23)
    売り上げランキング: 41,694
    Murakami: Versailles

    Murakami: Versailles

    posted with amazlet at 13.07.29
    Philippe Dagen Jill Gasparina
    Editions Xavier Barral
    売り上げランキング: 69,434
    リトルボーイ―爆発する日本のサブカルチャー・アート
    村上 隆(編集)
    ジャパン・ソサエティー イェール大学出版
    売り上げランキング: 70,971
    SUPER FLAT

    SUPER FLAT

    posted with amazlet at 13.07.29
    村上 隆
    マドラ出版
    売り上げランキング: 240,147
    村上隆完全読本 美術手帖全記事1992-2012 (BT BOOKS)
    村上隆
    美術出版社
    売り上げランキング: 175,648
    TAKASHI MURAKAMI Post Cards Set:DOB
    TAKASHI MURAKAMI Post Cards Set:DOB

     

    posted with amazlet at 13.07.29
    村上 隆
    有限会社カイカイキキ
  • 「フォスター+パートナーズ展 都市と建築のイノベーション」- 森美術館(六本木ヒルズ展望台)

    「フォスター+パートナーズ展 都市と建築のイノベーション」- 森美術館(六本木ヒルズ展望台)

    art_2016-02-13_049

    フォスター+パートナーズ展「都市と建築のイノベーション」を観てきました。

    ノーマンフォスターといえば、イギリスの建築家としてはNo. 1といっても過言ではない建築家で、もはやアトリエ系ではない大設計事務所を持っている建築家です。

    art_2016-02-13_052

    そんなノーマンフォスターの展覧会がまさかの森ビルで行われるということで、見てきました。通常展望台として使われる部分を利用しての展覧会だったので、かなり観光的な興味のない人も混じってはいるんですが、それは森美術館同様のご愛嬌という感じで、展覧会のボリュームはかなりのものでした。

    art_2016-02-13_058

    建築家・思想家であった、バックミンスターフラーと一緒にいたことが、初期のノーマンフォスターには大きな出来事で、その後、香港上海銀行から巨大なものも多く手がけている印象で、ライヒスタークの展望台、ガーキン、大英博物館のグレートコート、ミヨー橋、北京空港、ハーストタワー、最終的にはアップル本社をジョブスと作ったり3Dプリンタをつかった、宇宙での建築まで、とどまることない感じがすごいかったです。

    art_2016-02-13_082

    art_2016-02-13_083

    art_2016-02-13_074

    art_2016-02-13_085

    art_2016-02-13_096

    展覧会ではそれらを含めた今までの有名作品の模型がたくさんで、ものすごいボリュームでの展示でした。ちょっとボリュームがありすぎて、建築好き以外はつらいかも?

    最後にはノーマンフォスターのTEDが流れているようですが、遅い時間帯にフォスター卿の建築術の映画が流れているのでそれもかなり面白いのでオススメです。

    art_2016-02-13_061

    実際みたことがあるものでいうと、作風というのがそれほどわからないのですが、香港上海銀行、ハーストタワー、ガーキンは外から見ただけですが、構造をうまくやってるんだなという印象。北京空港や、ライヒスタークは実際はいってみて光や空間を広く使った気持ち良い空間という印象で、とても使いやすく、気持ちよく、流石の建築だなという印象です。

    巨大なものを気持ちよく巨大作れる空間の使い方の上手い建築家ですね。大英博物館のグレートコート行ってみたいな。

    PHOTO

    BOOK

    フォスター卿の建築術 [DVD]
    フォスター卿の建築術 [DVD]

     

    posted with amazlet at 16.02.14
    KADOKAWA / 角川書店 (2014-01-24)
    売り上げランキング: 23,405
    GA ドキュメント・エクストラ 12―Norman Foster (GA DOCUMENT EXTRA)
    ノーマン・フォスター
    ADAエディタトーキョー
    売り上げランキング: 1,519,488
    Norman Foster Works 6
    Norman Foster Works 6

     

    posted with amazlet at 16.02.14
    Prestel Pub
    売り上げランキング: 58,763
    Norman Foster Works 5
    Norman Foster Works 5

     

    posted with amazlet at 16.02.14
    Chris Abel Peter Buchanan Brian Carter Norman Foster
    Prestel Pub
    売り上げランキング: 117,721
    Norman Foster: Works 4 (Norman Foster Works)
    Prestel Pub
    売り上げランキング: 1,276,185
    Norman Foster: Works 3 (Norman Foster Works)
    Norman Foster
    Prestel Pub
    売り上げランキング: 177,760
    Norman Foster: Works 2 (Norman Foster Works)
    Norman Foster
    Prestel Pub
    売り上げランキング: 5,667
    Norman Foster Works 1 (Norman Foster Works)
    David Jenkins
    Prestel Pub
    売り上げランキング: 1,386,493
  • 五木田智央「THE GREAT CIRCUS」- DIC川村記念美術館

    五木田智央「THE GREAT CIRCUS」- DIC川村記念美術館

    五木田智央さんの「THE GREAT CIRCUS」をDIC川村記念美術館で観てきました。

    五木田智央さんといえば、個人的にはFLYING RHYTHMSをはじめとした、CDのアートワークやその他イラストなどを中心として、少しストリートよりのイラスト的なものを書いている人というイメージが強かったのだけれども、今回の展示をみて完全に画家というかアーティストであるんだなということを強く認識しました。

    基本的にカラフルな色を使う人ではないとは思っていましたが、絵画もほぼモノトーンだけれどもそれで十分であると思わせるような多様の白と黒と灰色が存在していてあらゆるものをクールにまとめている印象です。筆のスピードや捌きや軽さ・重さが感じられてそれだけでものすごく魅力的な絵が展開されていてとにかくすごく好きな感じで良かった。

    特に大きい人物絵画は素晴らしく、NYでも完売したのが頷ける完成度です。青い作品、滲んだ赤〜オレンジ〜黄色のような作品このあたりもグラデーションや滲みなんかで色々な表現を見せておもしろいのですが、もう一面としてストリート的な雰囲気のあるステンシルの作品や小さい絵画や写真のような雰囲気の絵画が組み合わさって一つの作品となっているものも別の面としてすごく良いです。

    ストリート的な空気からクールな空気までモノトーンで一気に圧縮したような作品群がとにかく素晴らしく、何度でも見たくなるような展覧会でした。今後も五木田さんの展覧会あったら観に行かないとな。

    PHOTO

    BOOK

    TOMOO GOKITA THE GREAT CIRCUS
    TOMOO GOKITA THE GREAT CIRCUS

     

    posted with amazlet at 17.03.17
    五木田智央
    torch press
    売り上げランキング: 112,569
    777
    777

     

    posted with amazlet at 17.03.17
    五木田智央
    888ブックス
    売り上げランキング: 208,727
    LINGERIE WRESTLING TOMOO GOKITA―ランジェリー・レスリング
    五木田 智央
    リトルモア
    売り上げランキング: 214,943
    BESAME MUCHO
    BESAME MUCHO

     

    posted with amazlet at 17.03.17
    五木田智央
    Honor Fraser Gallery
    売り上げランキング: 2,191,896
    Rhythm & Sound
    Rhythm & Sound

     

    posted with amazlet at 17.03.17
    goat
    Headz (2015-03-04)
    売り上げランキング: 136,832
  • 「絵画の在りか」- オペラシティアートギャラリー

    「絵画の在りか」- オペラシティアートギャラリー

    IMG_9244

    何かと話題な展覧会いってきました。東京オペラシティアートギャラリー の「絵画の在りか」 展 です。

    なんでこのメンツなのかなー?とか、展示の方法とか、微妙なことはWEBでの色々な人の話から理解はできましたが、まあ、そんなに悪くもなかったかなと思います。

    美術館があれをやったら謎だけど、一応アートギャラリーって名前だし(値段はわからないけども。)展示方法が悪くてデパートとか何とか展みたいな微妙さでしたし、個々の作家に深く入れないので勿体無いとか思ったりしました。

    若手作家のショーケース的な感じだと思われたので、選んだ基準みたいなものがないような、キュレーションというものがほとんど感じられなかったようなそんな気分になってしまいました。しかし、ショーケース的なものだとすればそれでいいのかもしれません。

    ということで、絵画の在りか展の感想としては、青木豊さん、今井俊介さん、高橋大輔さんが好きでした。個展があったら観たいなぁ。

    という感じで、ライトなショーケースとしての感想が正しいのかなーなんて思いました。色々な作家がみれて楽しかったです。ちなみに今ならこれらの作家さんは、まだサラリーマンでも頑張れば買える値段だと思われます。

    あと絵画の在りかはよくわからなかったです。

    BOOK

    OTHER

  • アンドレアス・グルスキー展 – 国立新美術館

    アンドレアス・グルスキー展 – 国立新美術館

    art_2013-07-06_001

    国立新美術館でやっているアンドレアス・グルスキー展を観てきました。

    森美術館で作品はみていたとはいえ、やはりこうやって個展という形でみると違います。かなり面白かったです。現代アートとして写真の作品を作っている作家さんで、ベッヒャー派といわれる作家です。巨大な写真作品なんですが、そこには現実なんだけれども非現実的な世界が展開しているような写真でした。

    今回の展示はグルスキーのキュレーションで、作品は初期から最近のものまでそろっているのですが、時系列にならんでいるわけでもなくて順路も決まっていない部分があります。結構それはポイントかな?と思っていて、時系列に並ぶと画像の加工の技術やレベルみたいなものに意識が行くんじゃないかな?という印象がありました。その流れを断ち切るために自由に並べた気がします。画像加工の技術やレベルに意識が行ってしまうのはグルスキーとしては観て欲しい部分ではないと思うのですが、それでもやはりそういう技術とは切り離せない作家であると思うのです。どこまでもピントが合っている写真は大きく観ても細部を観ても面白いのですが、それは細かい加工の賜物かと思います。

    コンピューター時代の写真だからこその画面の大きさと、エッジの立ち方をしていてこれが大きなポイントだと思います。このエッジやピントという点でいうとポロックの作品を撮ったものがキーの様に思えていて、あの作品だけが全体的にピントが合ってない気がしました。しかし、ピントが合ってないからこそ細部の奥まで意識が入って行けるような作品に見えました。

    あの、ポロックの作品の均一にピントが合っていない状態は杉本さんのアーキテクチャーの作品にも共通する抽象化する感じがあったり、見ている人間のピントが合わないという点ではリヒターの最近のストライプのものと共通する視覚の感じがあったのですが、グルスキーはそこから全体画面が均一にピントがぴったり合っている作品に向かった気がします。

    ボケとは違うんですが、そういう抽象的な画面をバンコクのシリーズからも感じました。この作品に関しては大きく画面を見たときの方が何が写っているのかよくわからないというものになっていて、近くに寄ることでその実態がわかるというようなものになっていて、これがグルスキーの一つの作風なんだろうなと思います。人や物や何かが集まっていたりなど、何かの集合している状況を撮ったりする作品でも大きくみることと小さく見る両方を要求されているようになりますが、バンコクのような作品も同様でこれが全てに通じる部分なんだと思いました。

    もちろん写真なんで動いている被写体を捉えている部分ではブレているんですけど、意図的にここを見てくれというようなボカしとかは無かったように思いました。それでこそあのエッジの立ち方で構成されるグルスキーの画面だと思いました。ポロックの作品以外で、このボケなんという点に注目すると、最後に別もののようにおかれていたV&Rの写真だけピントとボケが使われていたのが印象的でした。あれはファッションの写真だからそうしてあったのか?それとも新たな展開なのか?なかなか楽しみな終わり方をしていました。

    それにしても、近くによるとなってしまう警報音ですが、僕はそれほど気にならなかったです。でも、気になる人はいるだろうし、何で鳴ってしまったのか?どこで鳴っているのか?わかりにくいのが問題アリかと思います。あとセンサーに触れないように、作品名も読みにくいし・・・。

    でも、それ以上に気になったのがガラスの映り込みで、もうちょっと映り込まない反射の少ないものを使って欲しかった。映り込みが気になって色んな角度からみるっていうのも作品に入り込みにくかったし、見たい時に細部や全体が見えなかったり・・・。そうやっていろいろな所から見てもらうのが狙いとか、そういうのでデジタルな加工部分がわかりにくくなるんだとかだったらわかるんだけど。違う気がするし。映り込み少ないガラスがよかった。そういう意味では小さい作品は映り込みがなくて良いなーと思うのものが多かったです。

    とにかくスゴく面白かったので、オススメです。こんなにまとまってみれるのは次はいつかわからないし。大きな写真っていうのもいいもんですよ。松江泰治さんとかと見たい気もしましたが、松江さんはあんなに大きくないしなー。

    BOOK

    Andreas Gursky at Louisiana
    Andreas Gursky at Louisiana

     

    posted with amazlet at 13.07.06
    Hatje Cantz Pub
    売り上げランキング: 35,592
    Andreas Gursky
    Andreas Gursky

     

    posted with amazlet at 13.07.06
    Peter Galassi
    Museum of Modern Art
    売り上げランキング: 838
    Bangkok
    Bangkok

     

    posted with amazlet at 13.07.06
    Andreas Gursky
    Steidl
    売り上げランキング: 10,926
    Andreas Gursky: Werke/ Works 80-08
    Andreas Gursky: Werke/ Works 80-08

     

    posted with amazlet at 13.07.06
    Hatje Cantz Pub
    売り上げランキング: 1,465
    Andreas Gursky
    Andreas Gursky

     

    posted with amazlet at 13.07.06
    Hatje Cantz Verlag Gmbh
    売り上げランキング: 21,821
  • Joana Vasconcelos「Versailles」- ヴェルサイユ宮殿

    Joana Vasconcelos「Versailles」- ヴェルサイユ宮殿

    art_2013-07-30_105

    Joana Vasconcelos「Versailles」を、ヴェルサイユ宮殿で観てきました。

    ジョアナ・ヴァスコンセロスの作品は面白いのもありましたけど、ああいう空間にあると空間のパンチが強いので、なかなか大変だなぁと思いました。

    女性をモチーフにしたような作品だったので、宮殿とのバランスは良い方なのかもしれませんが、やはり宮殿は巨大でそこを一杯にするほどの作品は無かったし(作品でいっぱいにしてはいけない?)、宮殿の装飾が激しいというか、それそのものが芸術作品のようなのでそれに負けない作品というのもなかなか難しいですね。

    art_2013-07-30_094

    とにかくヴェルサイユ宮殿は歴史と権力と金の力を感じました。女性がああいうところが好きなのは姫になりたい願望からなのかなぁ?ホワイトキューブとは違う空間なのでそういう場所でみると作品もまた違って見えそうですが、なかなか難しい感じでした。

    ジェフクーンズとか村上隆とかがどんな風にしていたのか、実際見てみたかったなぁ。

    PHOTO

    BOOK

    Joana Vasconcelos
    Joana Vasconcelos

     

    posted with amazlet at 13.07.29
    Deborah Robinson Stephen Snoddy
    New Art Gallery Walsall
    売り上げランキング: 516,225
  • DAMIEN HIRST – テートモダン

    DAMIEN HIRST – テートモダン

    art_2013-07-30_106

    Tate modernでダミアンハースト展を観てきました。

    これこそ現代アートなんだろうなというところを誰でも直感的にわかってしまうのではないかなという展示でした。

    生と死。宗教や医学や金など色々な物を現代美術としてうまく見せてもらえた気がします。ハーストが世界を席巻しているがわかったような気がします。

    art_2013-07-30_107

    作品としては、日本にもきた牛の親子が2つになっているものや、その他のサメや羊など。スポットペインティング。薬の棚。タバコの作品。宝石の作品。蝶の羽で出来ている教会のステンドグラス。牛の首からハエが発生してそこで死んで行くものとか、蝶を完全に飼育できる状態にしている古いインスタレーションの再現とか、おそらくここでしか見られないようなものもありました。

    あと、多分値段が高すぎてイギリスから出られないんじゃないかと勝手に想像しているダイヤの頭蓋骨は別の真っ暗な空間を作って展示していました。

    見た目だけで取っても全く無感情のようなものと感情剥き出しのような激しいものの2つに分かれていた気がするし、作品の背景を知るとより面白いと思えるので、まさに現代美術だなという感じがしました。日本でこれを出来る美術館はないんじゃないかなぁ?なんて思ったりしてしまう過激なところもある展示でした。

    PHOTO

    BOOK

    Damien Hirst
    Damien Hirst

     

    posted with amazlet at 13.07.29
    Ann Gallagher
    Tate
    売り上げランキング: 25,957
    Damien Hirst
    Damien Hirst

     

    posted with amazlet at 13.07.29
    Prestel Verlag
    売り上げランキング: 3,987
    For the Love of God: The Making of the Diamond Skull
    Damien Hirst
    Harry N. Abrams
    売り上げランキング: 16,426
  • Daniel Buren「Monumenta 2012」- グランパレ

    Daniel Buren「Monumenta 2012」- グランパレ

    art_2013-07-30_110

    旅行の予定には入っていなかったのですが、パリでグランパレに行ったらたまたまDaniel BurenのMonumenta 2012がやっていたので観てきました。

    ここではボルタンスキーが古着のインスタレーションをやったり、アニッシュカプーアがものすごい建築のような空間をつくりだしていた、そのイベントの2012年の会期だったようです。

    入った瞬間から、単に綺麗という印象がものすごく強く残ったんですが、このグランパレという光が差し込んで時間ごとに光が変わって行く空間を上手く利用したインスタレーションとも言える気がします。この光をBurenの意のままに無意味並べて行った結果なのかな?とも思えました。

    art_2013-07-30_120

    光の要素の中に入っている様々な色をそこから抽出して、なにかの絵を描くわけではなく点描のように並べてその中に入って行けるという体験はすごく刺激的な体験でした。

    上手いのは光が干渉するわけでもない絶妙なサイズで全ての構造物が作られていました。また、中央では真っ直ぐ落ちてくる光を返すように鏡が用意されていたりして、自分が内側にいることを感じさせたりしました。

    旅行者なのでこの時間にしか行けなかったですが、他の時間、例えば夜とかであればライトアップされたりして、また違う空間になっているんだと思います。光が差し込む空間を利用しての変化を続ける光の彫刻のような、それを可能にする森のような構造体のような空間は非常に良かったです。

    PHOTO

    BOOK

    Daniel Buren
    Daniel Buren

     

    posted with amazlet at 13.07.29
    Guy Lelong
    Flammarion (2002-09-14)
    売り上げランキング: 119,804
    Daniel Buren
    Daniel Buren

     

    posted with amazlet at 13.07.29
    Daniel Buren Claire Doherty
    Walther Konig
    売り上げランキング: 578,860
    Daniel Buren Eye Of The Storm: Works In Situ
    Daniel Buren
    Solomon R Guggenheim Museum
    売り上げランキング: 738,985
    Daniel Buren: Interventions II - Works in Situ
    Suzanne Cotter
    Modern Art Oxford
    Daniel Buren: At the Wordsworth Trust
    Jean-Paul Martinon Hamish Robinson Daniel Sturgis Rebecca O’Connor Robert Woof
    The Wordsworth Trust
    売り上げランキング: 1,797,703
    Daniel Buren (Arte Hoy/ Art Today)
    Daniel Buren (Arte Hoy/ Art Today)

     

    posted with amazlet at 13.07.29
    Pedro Alberto Cruz
    Nerea
    売り上げランキング: 2,319,863
  • 村上隆「Murakami Ego」- Al Riwaq Exhibition Hall

    村上隆「Murakami Ego」- Al Riwaq Exhibition Hall

    art_2013-07-29_060

    カタールでやっていた、Murakami Egoを観に行きました。(詳しくはPERROTINのページに)

    震災に呼応して作られた100mの絵画、五百羅漢図が目玉だったのですが、本当にスゴかったです。あのレベルの環境で見れることは恐らくないだろうし、なにか完全に別世界だったし、その他もアレだけの規模の村上さんの展示が見れる機会が日本ではなかったので良かったです。

    震災を受けて五百羅漢の絵を書くと決めてすぐに実行に移し完成させたのがあの絵で、村上さんの新たな一面というのがはっきりわかりました。日本での展示が無いのが残念。

    細かい部分の作り込みやスーパーフラットと言われる絵画のスゴさというのは写真等では全くわからないので、実際にものを見るしかないと思います。

    art_2013-07-29_061

    それ以外もカタールという国なのでエロ表現のような部分が禁止だったようで。

    主にお花やカイカイキキやDOB君やタイムボカン等のキャラクターものが多かったりしましたが、それ以外も五百羅漢図と同じ空間に金色のOval Buddhaやとんがり君、テントの中ではアニメーションなんかも流れている中央空間なんかはもはやサーカスかと思えるほどの贅沢な空間になっていたと思います。

    立体の完成度はもはや仏像の様だし、絵画もお花とかは日本画の影響を感じるものであったりと、本当に日本美術とオタク文化的な日本文化をミックスして高度技術と方法で海外の文脈に乗せているんだなというのがわかり、これだけ一挙に見れてよかったと思いました。

    art_2013-07-29_062

    しかし、そういう点でいうと確かに五百羅漢図はかなり海外の文脈と言う部分は省かれていて自分がやりたいと思ったことをやっている気がして、今までの村上隆さんとは少し違うのかな?という部分を感じました。

    日本のためにつくったであろう作品が日本では売れず、カタールで公開されているというのは非常に残念でした。MOTとかどうにかして公開しないのかなぁ??村上さんの価値がですぎて無理なんだとは思いますが。

    これはエントランスにあった巨大バルーンの村上隆像。かなりリアルで大仏のような雰囲気がある。このエントランス部分だけ写真OKでした。

    BOOK

    Murakami: Ego
    Murakami: Ego

     

    posted with amazlet at 13.07.29
    Takashi Murakami
    Skira Rizzoli (2012-10-23)
    売り上げランキング: 41,694
    Murakami: Versailles
    Murakami: Versailles

     

    posted with amazlet at 13.07.29
    Philippe Dagen Jill Gasparina
    Editions Xavier Barral
    売り上げランキング: 69,434
    リトルボーイ―爆発する日本のサブカルチャー・アート
    村上 隆(編集)
    ジャパン・ソサエティー イェール大学出版
    売り上げランキング: 70,971
    SUPER FLAT
    SUPER FLAT

     

    posted with amazlet at 13.07.29
    村上 隆
    マドラ出版
    売り上げランキング: 240,147
    村上隆完全読本 美術手帖全記事1992-2012 (BT BOOKS)
    村上隆
    美術出版社
    売り上げランキング: 175,648
    Takashi Murakami:Prints
    Takashi Murakami:Prints

     

    posted with amazlet at 13.07.29
    村上 隆
    有限会社カイカイキキ
    売り上げランキング: 104,167
    TAKASHI MURAKAMI Post Cards Set:DOB
    TAKASHI MURAKAMI Post Cards Set:DOB

     

    posted with amazlet at 13.07.29
    村上 隆
    有限会社カイカイキキ
  • 靉嘔「ふたたび虹のかなたに」- 東京都現代美術館

    靉嘔「ふたたび虹のかなたに」- 東京都現代美術館

    MOTで「靉嘔 ふたたび虹のかなたに」を見てきました。

    思ったより年齢がいっていて80歳を超えている靉嘔さんですが、日本の方なのですね。名前から中国の方だと思ってしまってました。結構MOTで名前を目にする読売アンデパンダンまわりで、後にフルクサスのメンバーになったようです。

    1950年代、池田満寿夫らと共にデモクラート美術家協会に参加し、明るい色彩の油彩画を発表し注目されました。1958年には、ニューヨークに渡り、知覚によって認識される世界を具体的な物との対話によって改めて捉えようとする中で、箱の穴に指を入れ鑑賞する《フィンガー・ボックス》や、周囲の環境を取り込んだインスタレーション等、絵画の枠にとどまらない人間の五感に訴える作品が生まれます。日常の事物や行為そのものがアートに変換された1960年代、靉嘔の「エンヴァイラメント」と呼ばれるインスタレーションは先駆的な表現として注目されました。音楽家、詩人、美術家等ジャンルを超えたアーティスト達が交わり、パフォーマンスや印刷物の製作等を通し、今日のアートの多様性のあり方に一つの礎を築いたグループ、「フルクサス」のメンバーとしてオノ・ヨーコやナム・ジュン・パイクらと共に活動します。やがて、線で描く絵画を拒否し、引用したモチーフに赤から紫までの可視光線(スペクトル)を重ねる「虹」の作品が生まれ、ヴェニス・ビエンナーレ(1966年)での発表等を経て、靉嘔は「虹のアーティスト」として国内外で知られるようになります。

    初期はリトグラフとペインティングだったけど、ニューヨークにわたってアクションペインティングに影響されつつも自分独自の作品を目指してエンヴァイラメント(今でいうインスタレーション)に向かっていって、フルクサスのメンバーとなってそのエンヴァイラメントで、ウォーホールや、クリストや、シュトックハウゼンや、リキテンシュタインなどと交流したみたい。インスタレーション系はいくつかあったけども、基本的には写真での紹介でした。

    その後、絵画に戻るが単なる絵画ではなく、虹のように色をグラデーションしていく絵画を書いていく。トポロジーの法則をつかって書き方のシステムを作ったので、そのシステムで作品を誰でも書けるような方法で独自の絵画を作ったようです。このあたりで、基本ベースに他の画がある上で独自のシステムで自分の絵画に変換して行くということをやってる感じでしたね。POP ARTにも繋がるのかなという印象でいろいろ見れました。このあたりが虹の作家と言われる所以でなかなか作品量も多くて見所って感じでした。

    その後、絵画に物を取り込んだり虹の配列から逸脱する作品なども作成。そこから、新たな作品を作ろうとしているのかな?という印象をまだ感じる作家さんでした。展覧会内にあったインスタレーションは暗闇を歩くものと、触覚とレインボーを合わせた作品だったのだけど、一時代を作った人なのかなーという印象色々なインスタレーションと比べてしまうとやはり驚きは少ないけど、こういう歴史があったと思うと面白く観れました。

    BOOK

    虹のかなたに―靉嘔AY‐O回顧
    靉 嘔
    美術出版社
    売り上げランキング: 56368
    版画芸術 107 靉嘔
    版画芸術 107 靉嘔

     

    posted with amazlet at 12.04.18
    阿部出版
    売り上げランキング: 834178
  • ヴァレリオ・オルジャティ 展 – 国立近代美術館

    ヴァレリオ・オルジャティ 展 – 国立近代美術館

    ヴァレリオ・オルジャティ 展 at 東京国立近代美術館

    ヴァレリオ・オルジャティ 展に行ってきました。建築展だと結構文字が多くて疲れるなーってものがあったり、この建築の模型があればなーってものがあったりと、いい建築展というのもなかなか見れないのですが、今回はかなり観やすく面白いものになっていたと思います。

    もう少し言葉で説明してくれてもいいかなー。とは思いましたがコンセプトとして言葉ではあまり説明しないというものだったので、まあ、仕方ないか。

    基本写真と模型と設計時にイメージの手助けをしたような作品という感じでした。模型のサイズが1:33に固定されていたのが建築のサイズがわかりやすくてよかったです。

    ここまで、展示方法ばかり褒めてる感じになってますが、建築もよかったです。

    作風のようなものはわからなかったけれども、結構奇抜な形の建築もあるものの、内部は柱の少ない広い空間を得意としている感じで使いやすそうな建築が多かったです。しかし、外観には意外性があるので、アイコンとして強度のある建築になっていて良かったです。

    その意外性のある外観にどうして至ったかとかが言葉か何かで説明されてたら面白かったんですが、そこまでは説明されていませんでした。でも、わかりやすく見やすいないようだったので、楽しく見れる展覧会としては良いものでした。それにしてもロシアの美術館の建築はこれは1回見てみたいなぁ。ホントにこんなケーキをひっくり返したような大きな建築が森の中にあるんだろうか。すごいなぁ。

    BOOK

    El Croquis 156 - Valerio Olgiati
    El Croquis 156 – Valerio Olgiati

     

    posted with amazlet at 12.01.13
    Valerio Olgiati
    El Croquis
    売り上げランキング: 3731
    Valerio Olgiati
    Valerio Olgiati

     

    posted with amazlet at 12.01.13
    Laurent Stalder Bruno Reichlin Mario Carpo
    Quart Verlag Luzern
    売り上げランキング: 1492
    The Significance of the Idea in the Architecture of Valerio Olgiati
    Markus Breitschmid Valerio Olgiati
    Niggli Verlag
    売り上げランキング: 52259
  • BLOOMBERG PAVILION PROJECT – 東京都現代美術館

    BLOOMBERG PAVILION PROJECT – 東京都現代美術館

    「BLOOMBERG PAVILION PROJECT」は、東京都現代美術館敷地内に建てられたパヴィリオンを舞台に、一年間に渡って東京在住の若手アーティストの個展や公募展、パフォーマンス・イベントを開催していくプロジェクトです。パヴィリオンのデザインは、国内外で注目を集める若手建築家平田晃久。

    ということで、これから色々な作家の個展とかがこのスペースで行われていくそうです。すでに第2弾で蓮沼執太さんのフィールドレコーディングの音と映像の作品がありました。ただ、昼間だとプロジェクターの映像がほとんど見えないので要注意です。

    PHOTO

    BOOK

    animated (発想の視点)
    animated (発想の視点)

     

    posted with amazlet at 12.01.07
    平田 晃久
    グラフィック社
    売り上げランキング: 361699
    CC OO|シーシーウー
    CC OO|シーシーウー

     

    posted with amazlet at 12.01.07
    蓮沼執太 Shuta Hasunuma
    Headz (2012-01-01)
    売り上げランキング: 2181
    ポップ オーガ
    ポップ オーガ

     

    posted with amazlet at 12.01.07
    Shuta Hasunuma 蓮沼執太
    HEADZ (2008-09-17)
    売り上げランキング: 19957