カテゴリー: GALLERY

  • 大庭大介 個展 – SCAI THE BATHHOUSE

    大庭大介 個展 – SCAI THE BATHHOUSE

    スカイザバスハウスで大庭大介さんの個展を観て来ました。

    今まで偏光パールの絵の具を使って見る角度によって色が変わるような作品を作っていた大庭さんが、ホログラム系の顔料を使うことによって新たなタイプの作品を作ってきたという印象でした。今までは、光り方も含めて優しい感じの作品の印象があったのですが、今回は金属のような力強さがありました。

    エッジの立った筆の動きがわかるような力強さをより感じるようになり、新たな作品の方向性にいろいろな表情が加わって、作品の幅が一気にものすごく広がったような気がします。

    今回はさらに色のないような作品もあったりして、これからどんなものを作っていくのか楽しみになる個展でした。

    PHOTO

  • 愛☆まどんな「曖昧なUミーハーな愛」- AWAJI Cafe and Gallery

    愛☆まどんな「曖昧なUミーハーな愛」- AWAJI Cafe and Gallery

    愛☆まどんなさんの個展「曖昧なUミーハーな愛」をAWAJI Cafe and Galleryで観てきました。

    POPな美少女の絵なんですが、クールな青だけの絵画でした。絵だけでもいい感じなんですが、その絵からはみ出す形でインスタレーションされていたというか、そういう会場構成になっていて絵画同士が繋がっているような面白い見せ方でした。

    美少女はもう書き慣れている感じで、愛まどんなさんの作品だなというのがすぐにわかるので、そこから先にどういう風になっていくのかな?と思ったりしたのですが、やはり1番大きな絵はなかなかでこれから大きい絵もどんどん作っていくのかな?と思ったりしました。絵画が繋がっているのもそれの布石に思えたりしました。まだ買えるレベルの値段なので、お買い得な気がしました。

    PHOTO

  • 小泉明郎展「帝国は今日も歌う」- VACANT

    小泉明郎展「帝国は今日も歌う」- VACANT

    小泉明郎さんの「帝国は今日も歌う」を原宿のVACANTで観てきました。

    GWを含む9日間のみの会期なので、見れない人も結構いるかもしれませんが、思った以上に混んでいて注目度の高さが伺えました。

    私の夢も帝国に侵されたことがあります。というサブタイトルの通り、そのようなところから語りがスタートしますが、父が権力に連れて行かれる不安のようなものや、力や思想によって弾圧されるようなもの、それを見ようとしない外枠の人々のようなもの、それらの中を連れて行かれるような、夢のように進んで行く映像でした。

    結局のところこれを伝えるというようなものとは少し違った現在の空気をアートという形に封入して、それを長い時間いろいろな場所で再現できるようなものであるような気がしました。不安と権力と力と思想の混じり合ったものが圧倒的に迫ってくるようなものでした。国立や都立の美術館とかでは見れなさそうという話があるのも納得できるような気がしてしまうほど、強度のある映像でした。

    MOVIE

    BOOK

  • 坂茂「プロジェクツ・イン・プログレス」- ギャラリー間

    坂茂「プロジェクツ・イン・プログレス」- ギャラリー間

    坂茂さんの「プロジェクツ・イン・プログレス」をギャラリー間で観てきました。

    坂茂さんの現在進行中のプロジェクトについての展覧会です。やはり坂さんという感じで木で組んだようなものが多いですね。なかでも、2017年パリ近郊、セガン島にオープンする「ラ・セーヌ・ミュジカル(La Seine Musicale)」がメインでこういう建築を作らせたら坂さんだなという印象があります。

    隈研吾さんとかも木を使うけれども、どちらかというと和の要素だったり、独特なデザインとしての木の使いかたを感じるのですが、坂さんの場合は、もっと必要性のようなものを感じます。やはりそのあたりは紙の建築や仮設住宅等の考え方が反映されているのかなと思います。

    実寸大のパーツと模型を含めた展示であまり派手な印象はない坂さんですが、プリツカー賞を受賞したあたりからなにやらいろいろ大きなプロジェクトをやるようになってきているんじゃないかなと思いました。(私が全然しらないだけという気もしますが・・・)

    PHOTO

    BOOK

  • 多田圭佑「forge」- MAHO KUBOTA GALLERY

    多田圭佑「forge」- MAHO KUBOTA GALLERY

    多田圭佑さんの「forge」をMAHO KUBOTA GALLERYで観てきました。

    一見、木の上に書かれたペインティング的なものに見えるのですが、ステイトメントをじっくりと読んでみると、

    しかしここで目の前に展示された「床板」が木材ではなく、<実はアクリル絵具とメディウムという純粋な絵画素材のみで出来上がっているペインティングだという事実>が伝えられたとしても、鑑賞者の多くは「本当に?」と問い返さずにはいられないことでしょう。

    引用:https://www.mahokubota.com/wp/wp-content/uploads/2017/02/7e03063916431cb0b0a4eac2981c5b42.pdf

    とされていて、実際そうなったんですが、ここまで本物と見分けがつかないと意味がないんじゃないかというレベルでしかし、確実にペンティングなのでしょう。

    「捏造」されたスーパーリアルな視覚情報の上にアンフォルメルやアクションペインティング、あるいはグラフィティなどにつながる身体感覚を伴う絵画表現が展開される「trace/wood」のシリーズ。あるいは、古典的な手法で一旦完成させた静物画を凍結し、解凍ののちに再生させる「残欠の絵画」シリーズの手法など、多田圭佑の絵画では異なる幾つかの表現のレイヤーを重ね、対立させ、干渉させることによって、ノイズや時間の歪みを呼び起こす試みがみられます。

    引用:https://www.mahokubota.com/wp/wp-content/uploads/2017/02/7e03063916431cb0b0a4eac2981c5b42.pdf

    とあるように、確かに何かが対立しそこに生まれる違和感や、不思議な感じがすべてのものから感じられると思いました。そして、どのような手法でそれが作られたのかがわかったとたんに作品が強烈なインパクトと強度を持ち始めるように思えるのが面白かったです。

    PHOTO

  • アブラハム・クルズヴィエイガス展「水の三部作 2」- メゾンエルメス

    アブラハム・クルズヴィエイガス展「水の三部作 2」- メゾンエルメス

    アブラハム・クルズヴィエイガス展「水の三部作 2」をメゾンエルメスで観てきました。

    正直なところよくわからなかったんですが、展示方法は綺麗でさすがエルメスでやるアーティストだなというところはありました。メゾンエルメスでやるアーティストはある程度クオリティーが担保されているというか、そんな気がします。

    東京を表現しているというか、東京から得られたインスピレーションという形で作られているようですが、メタボリズムとかイサムノグチとか北斎とか今の東京ではないかなぁという感じもしつつ、まあメタボリズムと言われれば最初にみた新聞紙の構造体はメダボリズムっぽいといえばぽいが、きっと会期も後半になると蔦が絡まって緑になりそうな予感だけしました。このごちゃごちゃのいろいろなメディウムが混ざっているのが東京なのだろうか。

    とにかく何がなにやらで三部作の真ん中だけしか見れないわけですが、ウーパールーパーとかはメキシコの文化なのかな?そのミクスチャー具合とか誰か紐解いて、この展覧会の見方を教えてください。苦笑

    PHOTO

    BOOK

    Abraham Cruzvillegas: The Autoconstruccion Suites
    Abraham Cruzvillegas Patricia Falguieres Veronica Gerber Bicecci Sergio Gonzalez Rodriguez
    Walker Art Center
    売り上げランキング: 474,613
  • 高橋大輔 中村太一 今野健太「Gallery Show -After Fair-」- アルマスギャラリー

    高橋大輔 中村太一 今野健太「Gallery Show -After Fair-」- アルマスギャラリー

    高橋大輔さん、中村太一さん、今野健太さんのGallery Show -After Fair-をアルマスギャラリーで観てきました。

    2つのフェアに向けて制作された新作をふくむグループ展です。

    なんとなくイメージで言うとアートフェアで売るために、その作家のいわゆる売れそうなど真ん中の作品を展示して売るのが一般的なのかなと思っていたのですが、この3作家さんたちは逆に安定したものではなく意欲的に新たな手法を出しているところが攻めの姿勢で良いなーって思いました。

    スピード感のある水彩のイメージがあった中村太一さんが油彩で重みがありながらもスピード感があるままに書いている感じとか結構これから面白そうに感じたり、

    高橋大輔さんとかは、あの絵の具を重ねて彫刻しているようなスタイルを圧縮したようなスタイルになって変わっていたり、

    今野健太さんは、ブロンズとか大理石ではない石を使った作品を作っていたり、と新たな作品を全員が提示していたので、作家さんのステップがみれるという意味でなかなか面白いと思いました。個人的には中村太一さんの油彩が結構気になるなー。Radioheadのジャケットとかになりそうな雰囲気を持っている感じとか、なんとなくストリートのスピード感を感じさせるタッチとか。まあ、自分の好みの方向に変わるとか、変わって欲しいとかではないけど、これから楽しみな感じです。

    PHOTO

  • 今井俊介「float」- HAGIWARA PROJECTS

    今井俊介「float」- HAGIWARA PROJECTS

    今井俊介さんの「float」をHAGIWARA PROJECTSで観てきました。

    最近は布とかに印刷されていたり、KAATのロビーとかに巨大な動画を投影する作品をつくったりしていた今井俊介さんですが、今回は元々の今井さんのスタイルの作品です。コレコレと思わず思ってしまう感じでした。

    この平面と立体が入り混じったような、空間の作り方のうまさというか、構図のうまさというか、色や形のバランスの良さというか、そういうものが観て取れて面白かったです。

    いいんだよなぁ。Spring Feverの小さい作品買いだったかなぁ。

    ちなみにプレスリリースにはこんな感じに書いてありました。

    今回の展覧会では、原点である平面作品に立ち戻り、新作のペインティングを発表します。 精密な筆使いにより画面の強度が高められた作品は、平面性をより強く感じながらも彩度や明度を意識した絶妙な色の選 択と構図のバランスや歪みによって、観ることの不確実性と新鮮なイリュージョンを鑑賞者にもたらしま

    引用:https://www.hagiwaraprojects.com/_files/ugd/0034d8_5eb1e337558443c6b65479732d8743e1.pdf

    今井俊介さんの作品は、大きいサイズの良さもあるんですが、ある程度の大きさのルールもあるのか、大きいと複雑になってしまう部分もあるので、小さい作品の良さもあると思っていて、要素が多すぎないのも好きです。

    また、同じものを書いていてもトリミングの仕方や、キャンパスのサイズ感で全く違う作品に見えたりして面白いです。

    単純なように見えて、じっくり観ていると新たな良い部分が見つかったりする面白い作品なので、いずれ家に飾ってみたい。

    PHOTO

    BOOK

    OTHER

    その他の投稿はありません。

  • ジョージェ・オズボルト「For better or worse」- TARO NASU

    ジョージェ・オズボルト「For better or worse」- TARO NASU

    ジョージェ・オズボルトさんの「For better or worse」をTARO NASUで観てきました。

    小人たちがよくわからないアートを観ながら、それをさらに鑑賞者がアートとしてみているような、複雑な構造をPOPにまとめてしまっているような展示でした。

    小人や動物たちが興味深げにペインティングを観ているんだけど、そのペインティングが難解な?崩壊している感じという。面白かったです。

    どこか7人の小人にも似ているけど、何かずれている妖精たちがポートレイトを見ている。ステイトメントを読むと以下のような内容がある。

    移民問題が取り沙汰されるセルビア。ユーゴスラビア解体を経験し、故国喪失者であるオズボルトが制作したセルビアの妖精たちは年初のイギリスでの展示から更にまた遠く、日本へと侵攻する。

    引用:https://www.taronasugallery.com/exhibitions/%e3%82%b8%e3%83%a7%e3%83%bc%e3%82%b8%e3%82%a7%e3%83%bb%e3%82%aa%e3%82%ba%e3%83%9c%e3%83%ab%e3%83%88-%e3%80%8cfor-better-or-worse%e3%80%8d

    そう考えると小人たちは移民かもしれないなど、複雑なコンテクストが出てきてさらに面白い。しかし、何かコミカルでもある。

    奥の方には日本の根付に着想を得た彫刻作品とかがあった。どうやら、ひょっとこ的な面を巨大化したものと、ひょっとこの口の形に呼応しているのか?タコのような作品。後ろにもひょっとこ的に花をくわえているダンサー。

    手前の小人たちの作品がインパクトがありすぎて印象が弱く感じてしまったけど、ゆるいイメージと、イメージの連鎖と、複雑さがあり面白い展覧会でした。

    PHOTO

    BOOK

    その他の投稿はありません。

  • 「陶芸・彫刻を考えるきっかけ :信楽に撒かれた種」- Kaikai Kiki Gallery

    「陶芸・彫刻を考えるきっかけ :信楽に撒かれた種」- Kaikai Kiki Gallery

    「陶芸・彫刻を考えるきっかけ :信楽に撒かれた種」をKaikaiKikiGalleryで観てきました。
    参加している作家は、奈良美智さん、大谷工作室さん、桑田卓郎さん、上田勇児さんでした。そもそもKaikai Kiki Galleryには結構行っているし、ここで陶芸作品を買ったこともあるし、陶芸の展覧会も観ているので、目新しさはないかなと思っていたのですが、ここで突然に桑田卓郎さんが参加してきたのでびっくりしました。「陶芸・彫刻を考えるきっかけ :信楽に撒かれた種」をKaikaiKikiGalleryで観てきました。
    参加している作家は、奈良美智さん、大谷工作室さん、桑田卓郎さん、上田勇児さんでした。そもそもKaikai Kiki Galleryには結構行っているし、ここで陶芸作品を買ったこともあるし、陶芸の展覧会も観ているので、目新しさはないかなと思っていたのですが、ここで突然に桑田卓郎さんが参加してきたのでびっくりしました。

    もちろん、作品は陶芸とアートの間を行くようなものとして見えているし、村上さんが陶芸の問題を打破するために新たな地平を見つけるコンテクストを作り上げている展覧会ということもわかるのですが、桑田卓郎さんは入ってこないかなと思っていたので、桑田さんの湯呑みをつかっていたりするので嬉しい驚きでした。

    しかもこの湯呑みとかにカラフルなものが、付着?している作品とか、見たことがなかったので、この進化の仕方は面白いなと思ったりしました。桑田さんの湯呑み追加で買いたいけど売ってないんだよな。苦笑

    もちろん大谷工作室さんとか奈良美智さんの作品とかも絵画を立体化しているかのような素朴というか良い野暮ったさがある感じがドローイングのようで好きですし、上田勇児さんの作品などは緑が植えられている状態で完成しているといっていいと思うくらいでした。トークとかを聞くとより面白さもあるんだろうなと思いました。

    PHOTO

    BOOK

    OTHER

    その他の投稿はありません。

  • SPRING FEVER – 駒込倉庫

    SPRING FEVER – 駒込倉庫

    SPRING FEVERを駒込倉庫で観てきました。

    一人一作品で40名くらいの作家が参加しているイベント的な感じでした。実際アートフェア的な気分になりましたが、若手作家が多かったり、逆に若手のコレクターにも向けられていて買いやすい値段のものが多かったり、若手の批評家なんかにも向けられているような気もしました。

    実際コンセプトとしては以下のようです。

    桜さきみだれる4月、駒込倉庫にて若手作家約40名による展覧会を開催いたします。作家とコレクター、キュレーター、ギャラリスト、鑑賞者との交流と、彼らをサポートするための作品販売を目的とし、アートフェア的要素を含む小作品の展覧会です。

    交流はよくわからなかったけど、イベントとかでるとそういう感じなのかな?あまり小作品だけっていう展覧会もないし、小作品だと買いやすい値段だったり、部屋に飾りやすい大きさだったりするからいいよなこういうのと思ったりしました。

    個人的には今津景さんとか今井俊介さんとか欲しかったなぁ。ちなみに加藤泉さんのは非売だったようです。

    PHOTO

    BOOK

    OTHER

  • 宮島達男「LIFE (complex system)」- SCAI THE BATHHOUSE

    宮島達男「LIFE (complex system)」- SCAI THE BATHHOUSE

    宮島達男さんの「LIFE (complex system)」をSCAI THE BATHHOUSEで観てきました。

    カウンターの作品なので、いつも通りといえばいつも通りなのですが、池上さんと組んで作ったカウンターを今回も使ってさらに額に入れることで生命のカウントが何かの世界の中に収められている感じがありました。

    ステイトメントにはこんな感じで書いてあります。

    新作シリーズ《Life (Complex System)》(生命:複雑系)は、ステンレス製ケースのなかに配したIKEGAMI Modelのデジタル カウンター(ガジェット)とそれを結ぶ電子回路で構成され、あたかも人工生命が「孵化器」のなかで息づくように、LEDのまたたきに人工生命の静かな呼吸が託されています。生命の宇宙に接続したこれらのガジェットは、光の三原色によるさまざまな 個性の輝きとなって顕現し、やがて「0(ゼロ)」を刻む一瞬、闇に伏します。死を意味するこの暗闇もしばしの休息にすぎず、光はまた立ち上がりカウントをはじめる ー それは仏教における輪廻転生の教えでもあります。半永久的な反復を可能にするLEDテクノロジーは、複雑系の学説や宗教観のうちに結びつき、複雑な世界に開かれた生命の神秘を解き明かしながら、永遠につづく時間の流れを示唆しています。

    また、香港の世界貿易センター(ICC)を流れ落ちる数字の作品も、小型化して作品になっていたのですが、個人的にはこれは巨大だからよかったと感じました。

    小型化してしまうと実際のデジタルカウンターの方がよく感じてしまい、電光掲示板でデジタルカウンターをわざわざ表示して落としているのが、大きければいいのになと感じました。やはりあれは大きくて完成していた気がします。

    とはいえ、宮島さんの新作展なかなか面白かったです。

    PHOTO

    BOOK

  • 半田真規「トーキョーパレス」- statements

    半田真規「トーキョーパレス」- statements

    半田真規さんの「トーキョーパレス」をstatementsで観てきました。

    立体なんだけどサンプリングのようなコラージュのような見た目で繰り返されて図像になっているという作品でそのリズム感が独特な立体になっています。こういうサンプリングのような立体ってあんまり見たことがなくておもしろかったです。構造としてレイヤーみたいのなっているのも平面を感じさせて、立体なのに平面に近づいている感じがしました。とはいえ、ギャラリーのほとんどを使っているという圧迫感を強烈に感じて平面ではないなという確認をするような展示でした。

    新作となる本展覧会の『トーキョーパレス』は、「トーキョー」感を契機に、都市に見られるパターンをギャラリーの空間全体に割り付ける手法で制作されます。圧倒的な物質量で構成される「トーキョー」において、様々な素材は強制的に干渉しあい、連続したパターンとして重層していきます。また、そこに至るまでの物の移動は、莫大なカロリーを浪費する運動となり結果としての必然を生んでいます。

    引用:http://statements-tokyo.com/exhibitions/past_160520.html

    なるほどトーキョーの連続とパターンが重そうしている感じなのか。ふむふむというレベルの私ですが、圧倒的な物質感は確かに感じて圧迫されるような気分になりました。個人的には東京生まれなので、東京に物質量的なものは感じないのですが、そういう切り取り方もあるんだなと思いました。

    PHOTO

    BOOK

  • 五木田智央「Holy Cow」- タカ・イシイギャラリー

    五木田智央「Holy Cow」- タカ・イシイギャラリー

    五木田智央さんの「Holy Cow」をタカ・イシイギャラリーで観てきました。

    世界的な日本人アーティストっていうのは何人かいると思うんですけども、五木田さんも日本にとどまらない世界的なアーティストです。海外だとMARY BOONEギャラリーにそうそうたるアーティストと共に名前があります。2016年2014年にNYで展覧会が開かれています。イラストレーターというようなところから入って普通に絵画もできてしまって、さらに大きな画面も問題なく作れるなんて天才と言っていいような。五木田さんの詳しい話はフクヘンこと鈴木芳雄さんの記事が非常に面白くわかりやすいです。

    とにかく、白/黒/グレーだけで無限の色合いを表現している気がしますし、モノトーンなのに色がついている絵画よりも何か充実した画面に見えるのは、そこにある情報を伝える方法がうまいのかな?と思います。時に消したり、時にコミカルに、不必要な情報は省いたり置き換えることで、深みがあるけどPOPな絵画が生まれているような気がします。

    どこか新しくて、どこか古ぼけていて、なんとなくPOPで、なんとなくエロくて、なんとも言い表せないバランスで表現されていてとにかく見飽きることがなくてこういう作品が家に一点あったらずっと飽きないで観ていられるんだろうなという想像ができる作品です。とにかく良いです。必見。そういえばテイトウワさんの新作のジャケットも五木田さんですね。

    PHOTO

    BOOK

  • 赤石隆明「Waste Park」- G/P Gallery

    赤石隆明「Waste Park」- G/P Gallery

    赤石隆明さんの「Waste Park」をG/P Galleryで観てきました。

    本展では、2010年より始めたプロジェクト「Waste Park」が俯瞰できるような展示構成となっています。「Waste Park」は、友人よりプレゼントされた赤い石(パワースートン)を起点に、写真、立体、パフォーマンスなどジャンルを問わず作り出したイメージの変換を繰り返すことで、自作をアップデートし続ける試みです。パワーストーンの形を模造した多面体のコンクリートの塊を展示し破壊するというパフォーマンス(2011年)、これらの記録写真を転写した布で大量生産したクッション(2012年〜)、多面体の組み合わせを数パターン撮影し、ストレッチフィルムにプロジェクションした100以上のバリエーションからなる「Flimsy Stele」(2015年〜)にみられるように、作家の制作環境や条件に左右されながらも形態を変化させ、執拗な反覆によって増殖を持続させています。「あいちにトリエナーレ2016」で発表したインスターレションでは、2メートルにもおよぶ巨大なクッションへと変貌と遂げており、同作を発展させた新作も展示予定です。ぜひこの機会にご高覧ください。

    とあるように、展覧会をやるたびに進化するような、物語が追加されているような展覧会をやっています。赤石隆明さんのWEBとかみるとその過程が追えて面白いのです。その最新の展覧会が今回のもので、最初の方でやったと思われるコンクリートブロックの破壊の写真を展示しつつ、前回のあいちトリエンナーレの作りをほぼそのままに、コンクリートをその展示にかけるという展覧会になっていて、なんというかコレはもしかして一周してループ展開に?みたいな面白さがありました。

    作品の中にそれまでの展覧会が込められていて徐々に進んできたと思うのですが、それを破壊するかのような、全て塗りつぶすかのようにコンクリートがかけられていました。次の展開が気になります。ちなみに前回のあいちトリエンナーレも行ったので一枚写真をアップしておきます。

    記憶が正しければ、あいちトリエンナーレでも何か即売的に売っていて安かったような気がします。今回も作品で使われているクッションの小さいものと似たようなものがかなり安い値段で売られていて(多分エディションとかないからだと思います)、これは買いだなと思います。というか、買いました。笑

    PHOTO

    BOOK

  • 篠原有司男展 「我輩の絵にパンチが炸裂!」- 山本現代

    篠原有司男展 「我輩の絵にパンチが炸裂!」- 山本現代

    篠原有司男さんの「我輩の絵にパンチが炸裂!」を山本現代で観てきました。

    篠原有司男さんといえば、絵画、立体、パフォーマンスという様々な手法でいろいろな作品を作っていますが、今回はボクシングペインティングの作品を中心に展示していました。初日にはパフォーマンスがあったようなのですが、やはりそれを見てこその作品なのかな?と思って見に行きましたが、そんなことは関係なく作品としても強度があっていい作品でした。

    その名の通り、対象と真っ向から向き合い、格闘する「ボクシング・ペインティング」は、自分自身や、キャンバス、観客、ひいては社会との対戦そのものです。思考と同時に右から左にパンチが繰り出され、構図や筆圧を考える暇を与えません。途端にアクションは思考を追い越し、篠原のパンチそのものが純粋に作品となっていきます。

    http://www.yamamotogendai.org/japanese/previous-exhibitions/2017-shinohara

    —ボクシング・ペインティングは右から左に向かってボカボカやるので、構図とか絵の具のニュアンスとか全部一切抜きにして、左右の手の絵の具ついたボクシング・グローブの両脇を振り回すスピードと思考のスピードが一緒にならなくちゃいけないでしょ。そうすると思考っていうのは限られていくわけよね。手の方が早いから。そうすると手が自分の思考をリードしていくわけ、逆に。

    http://www.yamamotogendai.org/japanese/previous-exhibitions/2017-shinohara

    という風にあるように、もちろん、パフォーマンスが見れたらより作品が良くなるかもしれませんが、そのままでもボクシングのリズムと動きの感じが絵画として現れていてすごく良かったです。そのリズム感から琳派の要素が見受けられるとTwitterとかでみましたが、確かにこういう色合いとか見るとよりそんな気がしてきます。

    今回は、自分の書いた絵画の上にボクシングペインティングをするというようなことも行ったようなので、より見応えがあるようにも思えました。このボクシングペイティングはパフォーマンスを見てこそなのか、それとも作品が全てであるのかとか思ってしまいますが、そんなことについてもステイトメントに書いてありました。

    ボクシング行為は単なる技法であり、作品が本命だとする見方もあり得ますし、あるいは逆にそれは美術家のパフォーマンスであって、アクションこそが本命であり、絵の具のついた布はそのための道具に過ぎない、という見方もあり得ます。しかしそれは行為と作品の主従がない彼の作品の特徴であり、人々の前に身体をさらし、絵の具のしぶきやその場の喧騒、全てをひっくるめた「早く、美しく、リズミカル」な動きそのものがキャンバスに転写されており、行為と作品の優劣のない作品となっています。

    http://www.yamamotogendai.org/japanese/previous-exhibitions/2017-shinohara

    PHOTO

    BOOK

  • JUERGEN TELLER「TELLER GA KAERU」- BLUM & POE

    JUERGEN TELLER「TELLER GA KAERU」- BLUM & POE

    ユルゲン・テラー「テラー ガ カエル」展をBLUM & POE 東京で観てきました。

    テラーは、1991年にDetails誌に掲載されたカート・コバーンを撮影したアイコニックな作品によって大きな注目を集めました。その後、1992年に渋谷パルコで行われた初めての個展では、ポートレイトや初期のファッションフォトを発表しています。翌年には、モナコのフェスティバル・ドゥ・ラ・モードにおいて<1993 Photography Prize>を受賞しました。以来、作家はマーク・ジェイコブス、ヴィヴィアン・ウェストウッド、COMME des GARÇONS、ヘルムート・ラングといった世界的なメゾンやファッションデザイナーたちとの数々の企画に携わって来ました。ありのままでカジュアルな雰囲気を湛えた作家の作品群は、無作為なようでありながら、厳密なプランやステージ構成の元に成り立っています。このような対照的な要素がもたらす緊張感は、本展によせた風変わりなシナリオにも現れていると言えるでしょう。

    https://www.blumandpoe.com/exhibitions/juergen_teller_teller_ga_kaeru

    というように完全に計算された写真のようなんですが、その完全に計算されるベースとなる部分が絶妙な気の抜けたような写真でどこかこちらがバカにされてるんじゃないかというくらいに、捉えられない写真がならんでいました。

    入り口部分で流れていた動画なんかは、ギャラリーでやっているテラーの展覧会を興味なさげにダラダラみながら現代アートとかわけわからないなーみたいなみたいなことを言う動画で、逆にこうやってみる方が正しいのではないか?と思うほどのもので、そこから捉えずらさがより強調されたような気がしました。

    とにかく、この独特な計算されているのか、されていないのか全くわからず捉えどころのないような写真が面白い写真に見えてしまうあたり、完全に計算されているんだろうなと思います。他のファッションよりな写真もいろいろ見てみたいな。(検索すればでてくるか。笑

    PHOTO

    BOOK

  • 加藤泉「加藤泉展」 – Take Ninagawa

    加藤泉「加藤泉展」 – Take Ninagawa

    加藤泉さんの展覧会がTake Ninagawaでやっていたので、観てきました。

    ARATANI URANO所属だったと思うのですが、今回からTake Ninagawaの所属になったのかな?Take Ninagawaは海外に強いギャラリーのイメージがあるので、加藤泉さんが所属するとなかなかいい方向にドンドン海外進出しちゃうのかな?という感じがします。

    作品という意味では、今回はものすごく新しい何かというよりはTake Ninagawaでの紹介的な意味合いが強いのかいろいろなタイプの作品があるという印象でした。いつもの人のモチーフのフィギュアを使ったような立体作品から絵画を上半身下半身でつなぎ合わせたかのような作品があったりという感じでした。

    これからどんな感じの作品が増えていくのか、海外にガンガン進出しちゃうのかな?これからが楽しみになっていくような気がしました。

    BOOK

    OTHER

  • 津上みゆき「かつて時間であった線 かつて気配であった色」- GALLERY HASHIMOTO

    津上みゆき「かつて時間であった線 かつて気配であった色」- GALLERY HASHIMOTO

    津上みゆきさんの「かつて時間であった線 かつて気配であった色」をGALLERY HASHIMOTOで観てきました。

    その昔、津上みゆきさんの作品のイメージはもっとぼんやりとしたアンビエントな気配を書いたような作品が多かったように思っていましたが、いつの頃からか力強く、まさに今回のタイトルの「かつて時間であった線 かつて気配であった色」が別の形になって表現されているようにも思えました。

    作品の感じによってはラウシェンバーグ的なプリミティブにも近い作品になっているような気がして、昔の作風も好きですが、これはこれで良いように思えてきました。以前はなかった衝突のような力のようなものが表現されているかもしれません。新たな発見をした気分でなかなか楽しかったです。

    PHOTO

    BOOK

    OTHER

    その他の投稿はありません。

  • オースティンリー・リー「Serious Works」- Kaikai Kiki Gallery

    オースティンリー・リー「Serious Works」- Kaikai Kiki Gallery

    オースティンリー・リーさんの「Serious Works」をKaikai Kiki Galleryで見てきました。

    デジタルをベースにしているという感じのする作品たちがたくさんありました。デジタルをベースにしているおかけで、2次元や3次元などのことは関係なく自由につくられていて、その自由さが絵のテーマにも出てると思うのですが、とても面白かったです。

    写真で見るとさらに実感するのですが、一体どこまでが絵でどこまでが立体なのか分からなくなるような不思議な立体感があり、今回の展示でホワイトキューブではなくなったギャラリー空間がよりそれを強調しているように思えました。

    とにかく、グダグダな絵画に見えるのだけども、実際見ると良さがあるし、さらに写真とかに撮った時にさらにその面白さがでてくるあたり、今っぽいアーティストで良いなーと思いました。こういうアーティストの展覧会やってくれて本当にカイカイキキギャラリーはありがたい。

  • 荒川医「Tryst」- タカイシイギャラリー

    荒川医「Tryst」- タカイシイギャラリー

    荒川医さんの「Tryst」をタカイシイギャラリーで観てきました。

    入ってすぐに下に引いてあるArt Baselの横断幕のようなものがあること。そして謎の発光体がそれぞれ呼応しているかのように並べられていること。謎のミュージカルのような掛け合いが始まっていることに驚きつつ、日本語字幕を見たりしていると、なんとなくアートのことを話していることがわかるような。

    今回はこのようなパフォーマンスのようなインスタレーションのようなものだったので、何やらどう捉えていいのかわからないという気がしつつも、なんだかコミカルで面白いような内容のような。

    荒川さんがパフォーマンスアーティストであるということはなんとなくわかった気がするんですが、他の作品も見ていくうちにこの作品の面白さがよりわかってくるような気がしました。そのそもベースになっている具体の作品自体もよくわからなかったし、多分田中敦子さんかなーとかそういう感じで、これだけ輪郭がはっきりしなくても多分わかると思うんだけども。もうちょっと歴史しってないとなと思ったりもしますが・・・。

    PHOTO