カテゴリー: EXHIBITION

  • 「李禹煥と韓国の作家たち」「Project N クサナギシンペイ」- オペラシティアートギャラリー

    「李禹煥と韓国の作家たち」「Project N クサナギシンペイ」- オペラシティアートギャラリー

    「李禹煥と韓国の作家たち」をオペラシティ アートギャラリーで観てきました。

    瀬戸内国際芸術祭で李禹煥さんを観てから、SCAI THE BATHHOUSEでも観たりと李禹煥さんの作品を観る機会が結構あったんですが、観る度に理解が深まっていくような気がしています。

    最初は安藤建築の中にあって、安藤建築の雰囲気にやられたてしまって、あまり良く観れてなかったんですが、安藤建築の空間やその存在感と作品の空間と存在感がリンクしているのに気がつかないで、存在感のない絵だなぁーなんて思ったりしていました。

    しかし、その次にSCAI THE BATHHOUSEで観た時は、ホワイトキューブ的な空間で観たせいで今度は安藤建築の中では気がつくことができなかった、その強烈な存在感に気がつきました。その空白の中にある色やタッチの存在感はもの凄いと感じれました。

    そして今回は、SCAI THE BATHHOUSEで観たような力強い作品になるまでの軌跡を観れたような気がしました。最近の作品は白に近いような灰色で一つ、あるいはそれほど多くないタッチで空間を裂くような作品が多かったように思えましたが、そこにたどり着くまでには色々な手法を試していたという軌跡をある程度の数でみることが出来て面白かったです。色も灰色で無いものやグラデーションに近い複数の色も使っていました。

    さらに、李禹煥に近い作品を作っている韓国の作家の展示も行っていて、それらもそれぞれ面白かったです。色という面からアクセスしている作品や、タッチだったりとその形状自体で勝負している作品もありました。また、複雑な作業はしていないがあらたな視覚表現を探しているようなものなど。李禹煥と併せて観れて良かったです。

    Project Nはクサナギシンペイさんだったのですが、なかなか好きな感じでした。余白となる空間を生かしつつ、風景と思われる絵から幾何学的な部分を切り抜いたり、空気のような物を切り抜いたりというものを薄い絵の具でレイヤーとして重ね合わせて書くという手法はなかなか重しろいという感じがしました。これは、またそのうちどこかで観ることになりそうな予感がします。

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    時の震え
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    李 禹煥
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    余白の芸術
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    李 禹煥
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  • ホンマタカシ「ニュー・ドキュメンタリー」- オペラシティアートギャラリー

    ホンマタカシ「ニュー・ドキュメンタリー」- オペラシティアートギャラリー

    ホンマタカシさんの「ニュー・ドキュメンタリー」を東京オペラシティ アートギャラリーで見てきました。

    ホンマタカシさんは、主に雑誌を主戦場としている写真家と思っていたのですが、金沢21世紀美術館でやってから東京のオペラシティアートギャラリーと巡回するという展示を今回はやっているので、アーティストなのかなぁ?なんて思いながら展示を観てきました。

    観てきた感想としてはアーティスト的なコンセプチュアルな部分も見えるけどやっぱり写真家といった方がいいのかなぁ?という印象でした。(そりゃ写真家なんだから当たり前かもしれませんが・・・。)

    展示の構成としては、「Tokyo and My Daughter」「Widows」「re-construction」「M」「Together: Wildlife Corridors in Los Angeles」「Trails」「Short Hope (a portrait)」というパートに別れていてそれぞれの内容はWEBにも載っているし、会場でもらえるパンフレットにも載っているので割愛しますが、僕が思っている写真家のコンセプトよりは一歩踏み込んだ感じのコンセプトの物が多いという印象があります。(まあ、僕が写真はそんなに得意ではないので、説明されないと読み取れてないのかもしれないのですが。)

    そのコンセプトがまず大きくあるというところにアートとの関連性を見いだせるともいえて、そこが最初に書いたホンマタカシさんがアーティストに近いと感じる部分なのかも知れません。

    写真自体は、全体的に空白部分を利用して空間を生かしたものであったり、時代を感じさせるという時間を生かした物だったりしているものが多いかもしれません。そんな中で「M」という某Mではじまるファーストフード店を撮った写真だけシルクスクリーンで加工されていてアメリカンな所を感じさせつつも、デザイン的にはスタイリッシュというちょっと雰囲気が違うものを展示していました。

    個人的にはそのスタイルもかなり好きですし、全体的にこういう写真は似ている物を撮っている人は結構居そうだけど、やはり独特のニュアンスがでるんだなとわかる写真が多かったような気がします。

    今後アーティスト的な部分が大きくなっていくのか?それとも、より写真家らしくなっていくのか?それとも両立してあらたな方向に向かうのかそのあたりが楽しみです。 

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  • 「レントゲン 20周年特別企画 手練~巧術其の貳」展 – Spiral

    「レントゲン 20周年特別企画 手練~巧術其の貳」展 – Spiral

    「レントゲン 20周年特別企画 手練~巧術其の貳」展をspiralで観てきました。

    レントゲンヴェルケの20周年の記念イベントです。20周年っていうと気が遠くなるくらい古い話のように思えます。今とアートの現状も違っていたはずです。そんな昔からやっているギャラリーのイベントということでかなり良い作品がそろっていました。

    通常のグループ展というと余り面白くないなぁと思っていたんですが、それはアーティスト側を観ようとしているからで、今回はギャラリー側を観ると考えるとギャラリー所属のアーティストの作品から見えて来る物もありました。

    見ていると、耽美的や美しさ的なもののサイドと、幾何学的やデザイン的なもののサイドの2パターンにまとめられているように捉えられました。結構幾何学的なものやデザイン的なものの面の作品は好きな物が多いです。そういう作品を出す人達をどんどん増やして発見してきてほしいなぁとか思いました。

  • 村上隆「黒田清輝へのオマージュ」- Kaikai Kiki Gallery

    村上隆「黒田清輝へのオマージュ」- Kaikai Kiki Gallery

    村上隆「黒田清輝へのオマージュ」をKaikai Kiki Galleryで観てきました。

    Kaikai Kiki Galleryで2日限りの展示だったせいなのか?かなりの人でした。ギャラリーでこんなに人がたくさんいるのは珍しい。そして、内容もスゴいよかったです。

    黒田清輝さんのオマージュの元になっている作品は、ちょうど先日建築が面白そうだったので入って、実物を観たところだったので個人的なタイミングも良くてビックリでした。

    今回、展示されていたのはカイカイキキ工房により模写された黒田清輝の「智・感・情」と3人の絵師(Tony、KEI、大槍葦人)による3組の4種類の絵と、それの習作や行程表や連絡表等すべてが展示されていました。

    そして、どれも全てが素晴らしかったです。Kaikai KikiのWEBに以下の様に書かれていました。

    「智・感・情」は、よく知られた明治時代の洋画家・黒田清輝の名作です。国内では裸体画として物議をかもしながらも、1900年に開催されたパリ万博では銀賞を受賞しました。日本人女性をモデルにした最初の油彩の裸婦作品ですが、当時としての理想的な体型を追求した「最先端の女性像」であり、日本の伝統的な金地の背景に、西洋絵画的な極めて写実的な描写で人体のみを配し、さらに明確な輪郭線を用いた絵作りは、そのモチーフとともに、非常に挑戦的なものでした。

    そのテーマをまさに上手く利用した作品でした。現代に置ける「最先端の女性像」を3人の絵師に任せることで実現し、さらに漫画的な絵を利用するということは明確な輪郭線というものも上手く利用しているともいえるのでモチーフとして非常に利用しやすいものだったのかとも思えました。

    そして3人の絵師が作っている絵を比較しながら観ることができる最後の機会だったかもしれないと思うと観れて良かったです。3人とも比較しながらみると、それぞれの強みとかが観れて面白かったです。あまり大きなポイントではないだろうけど、どの絵師が好きとかいう好みも出てくるだろうなぁ。

    背景は金/プラチナ/金とプラチナで作られていて、当時とは違った解釈での日本画の金地の背景を上手く利用しているように思えます。

    そもそもの黒田清輝さんが裸婦画で物議を起こしたということと同様で、この3人の絵で現在の裸婦を表しつつも物議を起こすのではないか?ということも考えさせられるというのはかなり面白かったです。椹木野衣さんはTwitterで以下のようなことをつぶやいていました。

    村上隆 @takashipom はこの「黒田清輝へのオマージュ。」で、近代における日本画と洋画の分裂をオタク文化を芯に再統合し、しかもそれをアートとして西欧近代に送り返すという「4種混合画」を、驚くほど高い次元で完成させている。

    なるほど。確かに高次元で完成させられていてそれだけを観ても絵画として成り立っているのがスゴかったし、オタクの文化、ひいては今の日本文化の一部を上手く切り取って海外に紹介しているということにもなっていると思う。これはかなりスゴいことだと思います。とにかく短かったけど、観に行けて良かったです。

    BOOK

    芸術闘争論
    芸術闘争論

     

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    村上 隆
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    芸術起業論
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  • 加藤泉「Paintings and Sculptures」- NADiff Gallery

    加藤泉「Paintings and Sculptures」- NADiff Gallery

    加藤泉 「Paintings and Sculptures」をナディッフアパートで観てきました。

    加藤泉さんは細々と売れないアーティストの時代を10年以上も続けていた中、ある日突然ヨーロッパからのオファーが来て一気にトップアーティストに上り詰めたそうです。

    作品は独特の世界観のなかにある胎児のような子どものようなモチーフのペインティングや彫刻というものなんですが、その独特で強烈な世界観は確かにインパクトがあります。

    今までの加藤さんの作品のイメージだと、木彫りの彫刻のような作品か、油絵のような絵画の作品のイメージだったのですが、今回はフィギュアでした。これは、作品集に作品をつけるためにそうしたのか、それ以外の意味があるのかは分かりませんが新たな一手として面白いなぁと感じました。フィギュアというところで、ここからどうなっていくのかという余白があってこれからが気になります。

    BOOK

    OTHER

  • 藤堂良門「7000 Basalt」- ART FRONT GALLERY

    藤堂良門「7000 Basalt」- ART FRONT GALLERY

    藤堂良門 「7000 Basalt」を、アートフロントギャラリーで観てきました。

    前にも何処かで観たような気がするんですが、どこだかわすれたなー。って思っていたんですが、調べてみると神奈川県民ホールギャラリーでやっていた「日常/場違い」のようです。

    今回は、石や本の間にものすごく純度の高そうなガラスが入れ込まれていて、そこに新たな空間が作り出されているような作品でした。

    そのほかにも、本を透けるような紙で重ねて表した物や、遠くから観ると単なる石なんだけども、近くで観ると本のような紙で重ねて一つの石のような物になっている作品などです。ガラスの作品は、前も同じような作品でしたがそのときは柱とかにガラスを挟んだような大きな物もありました。

    本などはそのタイトルだけに集中されることになり新たな意味がつけ加えられているような感じでした。石も本来年月を重ねてそのようになるものに、あらたな空間が加わる事で、意味や観た目も変わっている面白いものになっていると思います。

    とにかく歴史や時間などが染み付いた物の一部を透明にすることによってあらたに見えてくる何かを見せているという印象でした。そのほかの立体もそういう歴史や時間を封じ込めたり解放したりしているような印象でした。

  • 木村了子展「楽園」- MIZUMA ACTION

    木村了子展「楽園」- MIZUMA ACTION

    木村了子展「楽園」をMIZUMA ACTIONで観てきました。

    なにやら妄想を素晴らしく現実化させているという点でかなりスゴいところまでいるような気がしました。それがまるで日本画のような雰囲気で大きくあるもんだからかなりのインパクトでした。一体なんの妄想なのかというと美男子の妄想ですね。

    入ってすぐに巨大な屏風絵が2つあって、片方には筋トレしている美男子が、片方にはまるでジャニーズのような美男子同士がホモソーシャルくらいの勢いで楽しみながら生活しているみたいな絵でした。

    手法的に日本がなのかどうかなのかはイマイチ詳しくはわかりませんが、漫画、特にちょっとマッチョなタイプのBL漫画にありそうなタッチの絵を屏風に書いてあれほど大きくアピールしてくるともの凄い圧力がありますね。

    そこに妄想の力というかジャニーズ的な美男子やら筋肉やらへの偏愛のような力を感じました。なんかゲイの人達とかもかなり喜びそうな感じだったなぁ。そこまでの力がみえてくるとかなり面白く感じることもできました。

  • 五月女哲平「猫と土星」- 青山|目黒

    五月女哲平「猫と土星」- 青山|目黒

    五月女哲平さんの「猫と土星」を、青山|目黒で観てきました。

    モチーフを平面に置き換えて、色と形のバランスで絵画の画面を構成しているような、平面絵画で絵画とイラストの間のような、絵画には収まらなくてもいいという自由度を感じました。

    おそらく、それは立体感を意図的に排除したような形や、色の配色のバランスから来ていて、実際にインテリアショップでみるような色合いのようにも感じでられるけども、ファンシーになりすぎないというバランス感があって、美術な文脈以外でも見る機会がありそうな気がしました。

  • 五十嵐淳「状態の構築」- ギャラリー間

    五十嵐淳「状態の構築」- ギャラリー間

    五十嵐淳さんの「状態の構築」をギャラリー間に観に行きました。

    五十嵐さんの建築っていうのはあまりよくしらなかったのですが、かなりの数北海道にあるようです。

    北海道という土地柄なのかどうかはわかりませんが、あまり高層な建築ではなく、四角くしっかりと囲まれた建築が目につきました。その中でも単調に四角く囲っていくのではなく、その四角い空間をどのように組み合わせていけば、あらたな行動がうまれてくるのかを考えているような複雑な形をした建築が多かったように思えます。

    詳しくはもっとどういう考えで建築をつくっているのか?とか今回の展示に合わせて出た本を読まないとわからないかもしれませんが今後出て来る人なんだろうなという感じがしました。とりあえず写真をたくさん張っておきます。

    PHOTO

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    五十嵐淳/状態の構築
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  • 「佐賀町アーカイブ COLLECTION plus, 1 大竹伸朗 展」- 佐賀町アーカイブ

    「佐賀町アーカイブ COLLECTION plus, 1 大竹伸朗 展」- 佐賀町アーカイブ

    「佐賀町アーカイブ COLLECTION plus, 1 大竹伸朗 展」を観にいきました。

    昔、佐賀町エキジビットスペースという有名なスペースがあったんですが、現在はなくなってしまっています。そのスペースでやった膨大な展覧会資料をアーカイブしてそれぞれ発表していくという展覧会です。今回は大竹伸朗さんの展示で過去の古い作品がいくつか並んでいました。

    さらに今回の為に新しい作品もありました。現在の大竹さんの作風とも違うような大きな作品とかあったり、逆に今に通じるような作品もあったりで大竹さんの昔を知るという意味で面白かったです。とくに新しいものとかがスゴいとかそういうのもなかったのですが、過去の物とのコントラストはありました。

    佐賀町エキジビットスペースというものがあったということだけは知っていて、知った頃にはもうなかったのでかなり今後の展示も楽しみなスペースです。

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    大竹伸朗 全景 1955-2006
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  • 都築響一「HELL」- ムエルテ画廊

    都築響一「HELL」- ムエルテ画廊

    都築響一さんの「HELL」をムエルテ画廊で観てきました。

    都築響一さんがタイに何カ所もある地獄遊園地?のようなところを取材した写真集のようなものに関連した展示です。

    都築さんがどういう方か知っている人は、すぐに想像がつくかもしれませんが、写真家かつ編集者かつライターというかたで、秘宝館や村おこし施設など悪趣味な珍スポットを取材していたりするので、その流れのなかの作品のように感じました。

    タイは仏教国なので、地獄というものの考え方が結構あるみたいで、地獄遊園地みたいなものがあるようです。

    世界に埋もれている謎の文化?を露出させていて面白いんだけど、なんかカルチャーショックだったり。あと、ベジタリアンフェスティバルってやばいかなりぶっ飛んでるタイのフェスティバルの写真も写真集に載ってました。とにかく飛んでる。

    BOOK

    HELL ~地獄の歩き方<タイランド編>“></a></figure><div class=
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  • Chim↑Pom「REAL TIMES」- SNAC

    Chim↑Pom「REAL TIMES」- SNAC

    Chim↑Pomの「REAL TIMES」をSNACで観てきました。

    何だかんだで、最近話題になっているChim↑Pomの最新の展覧会がSNACで6日間だけやるということだったので、初日に行ってきました。

    今回の話題はやはりTVのニュースでも取り上げられてしまっている、LEVEL7.feat「明日の神話」です。渋谷の明日の神話に今回の福島第一原発事故の絵を追加したというもので、いかにもChim↑Pomらしいやり方で話題をさらっています。その絵もあったし、その映像も流れていました。作品自体はコンセプトアートに近い文脈にある気がするので、もうその役目を果たしている感じと思っています。

    今回の作品の中に前もみた「不撓不屈」のやつもありました。これは広島の(あの問題になった)時に、現地の有名な被爆者の方から話を聴いたりしている時に、仲良くなり、その後今回の原発の事があってからどう思うか聴いてFAXで帰ってきたというもので、下に書かれている人の英知を信じるという言葉が重くのしかかってきます。

    そのほかにも、現地でボランティアをしてその現地の仲間たちと気合入れを100連発でやるとかもナカナカ良い映像でした。実際のところどこまでボランティアをしてたのか?とかわかりませんが、とにかく現地で勢いで気合い入れをするというのは、Chim↑Pomのスピード感に通じることもあるし、力もあったように思えました。

    そのほかにも、今では入れない地域にいつ撤去されるかわからない旗を掲げたり、かかしを立ててきたりなんていう作品もありました。とにかく日本の今という意味では外せない今回あった原発の事故を捉えることがChim↑Pomのリアルタイムということだったんだと思えました。そして、やはりChim↑Pomのスピード感を感じることができました。

    彼らはやっぱりなんかやろうぜ!って盛り上がって悪ふざけしちゃうくらいの早いスピード感でものをつくりつつ、ギリギリのラインをスケールを変えてやっちゃう所がスゴいと思うのでそれを感じられて面白い展示だったともいます。もちろん悪ふざけのようなギリギリのラインだから嫌いな人もいると思うけど、話題になったもの以外もみたらChim↑Pomは面白いです。

    PHOTO

    BOOK

    Chim↑Pom---チンポム作品集
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    JOY TO LOVE:Chim↑Pom
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  • 「ヘンリーダーガー展」- ラフォーレミュージアム原宿

    「ヘンリーダーガー展」- ラフォーレミュージアム原宿

    ヘンリーダーガー展をラフォーレミュージアム原宿で観てきました。

    ヘンリーダーガーというと2007年の原美術館の展示を観にいっていたんですが、その後上映されていた映画は見逃しているので、2007年以来となります。

    ヘンリーダーガーを理解する上では、やはり彼がどういう人物でどういう生活をしてきてどうやって作品が発見されたのか?その過程を知ることで作品の見え方が変わってくると思っています。

    原美術館の時は作品の点数もそれほど多くなかったという印象が残っています。それはダーガーをある程度知っている人が見に来るというイメージだったからかな?と想像しました。

    今回の展示は、全く逆で何も知らない人が観に来てもわかりやすく理解できるような構成になっていたように感じました。

    (最後のまとめまでしっかりしすぎていてちょっと説明しすぎじゃないかな?って思うところもありました。それくらいわかりやすく丁寧でした。)

    ヘンリーダーガーは、施設にいられるような少年時代を経て、病院の清掃員として働きながら誰に知られることも無く「非現実の王国で」という作品を作っていて、彼の死後にそれが発見され、あまりの膨大な量とその内容にアートとして広められているという人です。

    今回展示は、彼の人となりや、「非現実の王国で」内容にも軽く触れつつ導入となる部分と概要を説明、それを著名人がどう捉えているかというところまででパッケージされている展示でした。

    原美術館で展示をやった時には、その造形や絵画として面白い部分に焦点があっていたように感じたので、今思うと華やかな色合いや画面の構図がにぎやかなものが多かったように感じます。ダーガーのメルヘンの部分を強調した展示だったように思えました。

    今回は「非現実の王国で」の概要をすべて網羅しようとしたのか色々なタイプの絵があって、グロテスクな物もたくさん混じっていました。そのあたりはあまり見た印象がなかったのでなかなか興味深くみれました。そのあたりから戦争や神への執着のようなものも感じ取れましたし、自分の孤独も感じれました。

    今回の展示をみて、ダーガーがどんなことを思い、どんな気持ちで作品をつくっていたかに少しだけ迫れたような気がしましたが、(最後の著名人の感想でも何人かの方が触れていたが)一体それが良いことなのか?本当は誰にも見せたくなかったであろう作品を観られるという行為、自分に内面に誰かが迫まってこようとする行為それはどうなんだろうな。と感じたりもしました。そう考えると原美術館のアプローチが良いような気がします。

    とにかく、わかりやすく丁寧に説明して、まとめまでつけてくれるという展示だったので、初心者の方には非常に観やすい展示だったんじゃないかと思います。ボリュームも会場の広さの割にはあった(というか、会場が狭すぎた。あの点数を置くならもうちょっと広い美術館がよかったなーなんて思ったり。)ので、楽しめる展示でした。

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  • 荒木経惟「写狂老人Aのフィルム・ノスタルジー」

    荒木経惟「写狂老人Aのフィルム・ノスタルジー」

    荒木経惟さんの「写狂老人Aのフィルム・ノスタルジー」をタカ・イシイギャラリーで観てきました。

    写真はフライヤーを撮影したものです。

    荒木経惟さんの展覧会ですね。「幸福だった時間を思う気持ち(ノスタルジー)こそが人生だと」感じたというような説明があったのですが、確かにそういうノスタルジーな部分を読み解くこともできるのかもしれませんが、どうしても、荒木経惟さんの写真を見慣れていない自分にはまず生々しさの方に目がいってしまいますね。まあそれが作風なのだから、そこから先を見て行かないと面白くないのかもしれません。写真についてはまだまだ勉強不足なので如何せんこんな感想になってしまいました・・・。

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    チロ愛死
    チロ愛死

     

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    荒木 経惟
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    陽子 (荒木経惟写真全集)
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  • 藤本由紀夫「n / t -phonography / photography-」- ShugoArts

    藤本由紀夫「n / t -phonography / photography-」- ShugoArts

    藤本由紀夫さんの「n / t -phonography / photography-」をShugoArtsで観てきました。

    写真はフライヤー等を撮影したものです。

    藤本由紀夫さんといえば、まだそれほどアートをみていなかった2007年に大阪の国立国際美術館で「+/-」という展覧会をやっていた時に初めて観ました。

    そのときはレコードを使った音を視覚的に見せるような作品や、ビートルズが正規のアルバムで発表した曲を全て同時にかけることで聴こえてくる音が遠いことでホワイトノイズに近づき、近いことで個々の曲に聴こえてくるという作品などでした。

    それを観てスゴく興味を持って、その後、ShugoArtsで「遠/近」という展覧会をみたりしていて、共通してそのタイトルにあるようにものの見方を変えて、新たなものを見せるというようなことを視覚や聴覚をつかって行っている人だと思っています。

    そんななか、今回の展示は「私たちは今、目で音を聞き、耳で絵をみている。」藤本由紀夫 という言葉が示すように音を表現する物を観たり、蓄音機等でレコードを作るかのように光を記録することを意識している作品がありました。

    通常耳で聞く物をどうにかして目で見えるようにする。目で見えるものをどうにかして耳で聴こえるような物にする。それが直接的に動作しているような作品は今回は無かったけれどもその過程のようなものを作品としているように思えて面白い作品でした。

    単純にそのものが何を示しているかわからなくてもキレイだとかいう部分もあり、いつも面白くて次の新しい作品がいつ見られるのかが気になります。

  • 「ネオ・ブッディズム」

    「ネオ・ブッディズム」

    「ネオ・ブッディズム」をKIDO PRESSで観てきました。

    亀島 悠平さん、小林 裕子さん、土屋 裕介さん、横山 麻衣さんの4人の作品があるというグループ展で唐澤茉也さんがキュレーターとして参加しているという感じでした。

    ネオ・ブッディズムというタイトルの意図を感じrられなかった。なんか静かな作品が多いといえばそう感じることもできたけど、別にブッディズムってそんな表層的なことをいってる訳でもないだろうし。

    グループ展にすると個々の作品の点数が少なくなってくるから、展覧会のコンセプトをより明確に強力に出す必要があるのかな?って思っているんだけども、そこがあまりわからなかったです。小林 裕子さんの作品とかはもうちょっと見たいなぁって思ったりしました。

  • ニック・マウス「Reversible Surface」- hiromiyoshii

    ニック・マウス「Reversible Surface」- hiromiyoshii

    ニック・マウス「Reversible Surface」をhiromiyoshiiで観てきました。

    写真はフライヤーを撮影した写真です。

    説明等もあまりなかったし、簡単に調べてみたのですがあまり出てこなかったので、どういう作家さんなのかイマイチよくわからない感じでした。

    抽象画のような街や人物を切り取っているのだけども、それをフォーカスしている部分を自分で書き換えて作品にしているようなタイプの作品が多かったように思えます。街とかを切り取るタイプの作品は個人的には好きで、銀?プラチナ?的な色を削ったりして作品にしてあるものとかもあってなんだかもうちょっとわかれば面白かったかも。勉強が必要です。

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    Nick Mauss: Geschenkpapiere
    Nick Mauss: Geschenkpapiere

     

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    Kirsty Bell Emmelyn Butterfield-Rosen
    Buchhandlung Walther Konig GmbH & Co. KG. Abt. Verlag
  • 「ハンス・ヨゼフソン 展」- 小山登美夫ギャラリー

    「ハンス・ヨゼフソン 展」- 小山登美夫ギャラリー

    ハンス・ヨゼフソン展を小山登美夫ギャラリーで観てきました。

    写真はフライヤーを撮った写真です。

    抽象的な彫刻作品だったのですが、どうやら全て人間をモチーフにしている作品だったようです。英語字幕で78分もある動画はさすがに全部はみなかったのですが、その作品だけを観てもスゴく力強い念のようなものが込められているんじゃないか?と感じるような作品でした。

    彫刻自体に生命の力強さを感じました。造形だけみると抽象的でほとんど人だかなんだかわからないものもあったりするんですが、生命や魂ともいいたくなる何かが、人なんだということを理解できるようにしているような作品でした。

    BOOK

    Hans Josephsohn
    Hans Josephsohn

     

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    Gerhard Mack
    Scheidegger & Spiess
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    Hans Josephsohn. Eine Kunst des Zusammenhangs
    Gerhard Mack
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  • 田口行弘「Pan! Pan! Pan!」- SNAC

    田口行弘「Pan! Pan! Pan!」- SNAC

    田口行弘さんの「Pan! Pan! Pan!」をSNACで観てきました。

    田口行弘さんというと、僕が見た覚えがあるのはαMの複合回路で観たのを覚えているのですが、この時は影と実態の境界を歩くような作品でした。そのような虚数と実数の間のような間のないところの間をみせるアーティストなのかな?って思っていたんですけど、今回はそれとはまた違うタイプの作品でした。

    今回の作品は2つあって、一つはパラパラマンガを写真でつくるというタイプの作品で、これは言ってみれば現実でアニメーションをつくっているという感じでしょうか?実際ではあり得ないことが起きるアニメを利用して実際には起きないことを起こすという感じにも捉えられました。

    もう一つは2人で会話をしているのだけど、間に一人言葉を伝達する人がいるという作品。音を空気の振動と捉えるならばその振動役の人間がいるというような作品です。

    αMで見た作品とかからも感じたことではあるのですが、何となく見えないものに実態を与えようとしているのかな?という印象を受けました。実際はそこに無いものをあるように表現するにはという感じで面白かったです。

  • ホンマタカシ「between the books [Mushroom…]」- limArt

    ホンマタカシ「between the books [Mushroom…]」- limArt

    ホンマタカシさんの「between the books [Mushroom…]」をlimArtで観てきました。

    東京オペラシティアートギャラリーで開催中のホンマタカシさんの「ニュー・ドキュメンタリー」展が中心となっていて、そこから派生した9つの展覧会「サテライト9」の中の一つの展示です。limArtでは、キノコの写真を中心とした作品群でした。

    キノコの写真というと、なんか自然の中にあってそれを撮っている写真が多いと思うのですが、このキノコの写真は自然と切り離されてキノコというものにフォーカスしているような感じで、特にキノコの形状というものに目がいくようになっていたように思えます。

    やはりホンマさんは一般的に思える切り取り方とは別の切り口を写真で切り取っているという感じがしますね。

    BOOK

    ホンマタカシDiaries2010~2011―ホンマタカシ作品集 (インプレスムック PHOTO GRAPHICA)
    ホンマ タカシ
    MdN (2011-03-17)
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    美術手帖 2011年 04月号
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    美術出版社
    たのしい写真―よい子のための写真教室
    ホンマ タカシ
    平凡社
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    OTHER

  • ホンマタカシ「Seeing Itself <建築写真編>」- Gallery koko

    ホンマタカシ「Seeing Itself <建築写真編>」- Gallery koko

    ホンマタカシさんの「Seeing Itself <建築写真編>」をGallery kokoで観てきました。

    東京オペラシティアートギャラリーで開催中のホンマタカシさんの「ニュー・ドキュメンタリー」展が中心となっていて、そこから派生した9つの展覧会「サテライト9」の中の一つの展示です。gallery kokoでは、建築写真を中心とした作品群でした。

    通常、建築写真というとGAとか建築雑誌といわれるもので観る機会が9割以上なんですが、そういう建築写真とは違うものでした。通常の建築写真は建築が画面のほとんどで、それで完成している物だと思うのですが(それで良いと思う)、ホンマさんの写真は建築だけで写真が成り立っていないという感じです。それ以外の要素も含めて写真がなり際立っているような気がしました。

    それ以外に展示の仕方もなかなか面白かったのですが、ぶっちゃけちょっと見難かったですが。双眼鏡で遠くにある写真をみるっていうのはいいんですが、やっぱりしっかりと観たかったなぁっていう気もしました。でも、面白い展示方法でした。

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    ホンマタカシDiaries2010~2011―ホンマタカシ作品集 (インプレスムック PHOTO GRAPHICA)
    ホンマ タカシ
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    美術手帖 2011年 04月号
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