本展は、横山が大学卒業後の90年代初〜後半にかけて描いた板絵から構成されます。横山は当時これらの作品を描いては公募展に応募するも、落選が続く日々を過ごしていました。「一番安い素材だった」薄いベニア板に描かれているこれらの作品について横山は、先に行われた広島現代美術館での展覧会時に受けたインタビューで「絵画はもう終わりだと思い、かなり追い詰められていた。9回裏5点差くらいの感じ」と自虐的に回想していますが、25年の時を経た今、当時見向きもされなかった作品が放っている輝きに驚かされることでしょう。
という風にある通り、横山裕一さんの初期の作品で個人的には横山さんをニュー土木やトラベルで知ったくらいなので、あの作風の前の感じが少し新鮮でありつつも確かに今輝きがあるなと思いました。そして、作品はどんどん新たに進んでいるけれども、根幹部分にある人物や出来事の捉え方とか、色使いとかは昔からなんだなということもわかり面白かったです。
ベニア板に書いた大きい作品ももちろんいいんですが、カラーで紙に描かれたパステルカラーでカラフルな作品も横山さんらしくてよかったです。