丹羽良徳さんの個展「人類はなぜ経済活動をしているの?」をSatoko Oe Contemporaryで観てきました。
丹羽さんというと、衝撃的だった初期の「水たまりAを水たまりBに移しかえる」から、ずっと独自の方法で社会に介入したり、新たな方向から社会を切るような作品をつくっている作家さんで、多くの作品は動画やパフォーマンスの形で発表されている印象があります。
今回の展覧会に出ていた作品は、以下のような作品です。
大量生産・大量消費・大量廃棄を前提とした資本主義社会と、それが生み出す商品によって人間のアイデンティティがどのように形成されるかに光を当てています。
引用:http://satokooe.com/category/exhibitions/
いつものように動画の作品もありましたが、コロナ禍でつくられた絵画作品が大量にありました。ほとんどは丹羽さんの作品のタイトルのような文言が書かれていました。
パフォーマンスアーティストとして長らく活動してきた丹羽良徳にとって、作品タイトルは非常に重要な意味を持っています。これまでほぼ全ての彼の作品タイトルは「~する」という形式で示されています。彼の展示するパフォーマンス記録映像は、その一例に過ぎず、言い換えれば、誰でも実行可能なプロトコルとして公に開かれています。
引用:http://satokooe.com/category/exhibitions/
このそれぞれをタイトルのような文章を、プロトコルとして実行してしまったらと想像するだけですごいですが、丹羽さんのアイデアの一部をみているようでした。
おそらく今回出ていた、ほとんどの作品が丹羽さんのオフィシャルWEBのドローイングのページでみれます。
また、ビデオのページでかなり多くの作品をみれます。観てみると面白いと思います。かなりヒリヒリする感じの作品が並んでいます。
いくつか作品を見てから展示を見たりすると、またドローイング作品の見え方が変わってきそうな気がします。
今回のテーマは「資本主義社会に組み込まれた大量生産・大量消費・大量廃棄に翻弄される人類のあり方に、疑問を投げかけるものです。」とありますが、一般的な常識から逸脱しているパンクスのような、ヒトラーとか共産党とか、あと一歩で狂気に踏み込みそうなギリギリな作品が丹羽さんという印象があり、どうしても毎回気になってしまいます。
今回は、2本の動画が展示されていました。
「我々の所有財産を語る, 2022」は、ロンドンでのパフォーマンスの記録動画で、ゴールのギャラリーまでの道のりで目に入った言葉を読んでいくのですが、聞いているうちにあらゆるものが広告や製品での文字であり、町にある文字がほぼ消費社会に関連していることに気がつかされます。(関係ないけど、肘が痛そうでめちゃくちゃ気になる。苦笑)
「他人の所有物に生きる, 2023」は、人は持ち物を自分の意思で購入し、何か考えて購入している。それを貸し出す(または貸し出さない)ことにより、他人の意思の中/他人の消費の中で自分の生活を行うことで何が起きるのかが見えてきます。
普通に生きていると気がつかなくなってしまっている、壁や境界のようなもの(今回なら資本主義社会に組み込まれた大量生産・大量消費・大量廃棄)を独自の視点から切ることによって、そこに疑問や問いのようなものを投げかけてくる、現代アートならではの作品と言えると思います。
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INFO
丹羽良徳「人類はなぜ経済活動をしているの?」
会場:Satoko Oe Contemporary
会期: 2023年4月15日(土)〜5月20日(土)
開館時間:12:00-18:00
定休日:日、月、祝、休(4月29日〜5月8日までGW期間休廊)
WEB:http://satokooe.com/category/exhibitions/