近藤恵介さんと冨井大裕さんの「あっけなく明快な絵画と彫刻、続いているわからない絵画と彫刻」をLOKO GALLERYで観てきました。
ギャラリーにはいると衝撃的な作品(被災し、修復した作品)が目に入ってきます。ステイトメントを読むと以下の文章があります。
川崎市市民ミュージアムに収蔵されていた近藤恵介と冨井大裕の共作による《あっけない絵画、明快な彫刻》は2019年10月の令和元年東日本台風で地階収蔵庫の浸水によって被災した多くの作品の中に含まれていました。
被災し修復を施されたこの5点の作品の運命に二人の作家は向き合い新たな作品《あっけなく明快な絵画と彫刻、続いているわからない絵画と彫刻》を制作しました。
近藤恵介さんは、以下のような作品を制作している方です。
日本画の技法を使いながら日本画の技法を用い、やまと絵に見られる構図法「吹抜屋台」などから引用した建築的な構図の中に、植木鉢やコップなど日常にあるものを精密な描写で並列させた絵画を制作。
引用:https://bijutsutecho.com/artists/374
冨井大裕さんは、以下のような制作をしている方です。
スーパーボール、クリップ、鉛筆、ハンマーなど、多種多様な既製品を用いて立体作品を構築する作品スタイルへと移行。並べる、重ねる、束ねる、折り曲げるといったシンプルな手法によって、既製品を本来の意味や機能から解放し、彫刻の新たなあり方を探求し続けている。
引用:https://bijutsutecho.com/artists/64
2人とも、日常にあるものをそれぞれの手法で変化させて作品をつくっているようです。何となくですが、近藤さんが作った日用品の絵画のようなものを冨井さんがコンポジションしているのかな?と思わせる作品でした。
展覧会タイトルにもあるのですが、以前の「あっけない絵画、明快な彫刻」から、「続いているわからない絵画と彫刻」ということで、全く関連性がないかというとそういう訳でもない絵画があったりしました。
新作として作られた、石膏の作品と平面的な作品があったのですが、どちらの作品もなにかあっけらかんとしているというか、被災した作品との関連性がないように感じるほど、楽しそうな明るい作品に感じました。
被災した作品だけで、展覧会を作った場合にはまた違う雰囲気の空間になっていたと思いますが、新作があったことで、過去のことを気にしつつも前を向いて新しく楽しく進んでいく力強さを感じました。
また、合わせて上記展覧会の図録がつくられています。こちらの図録は、執筆に近藤恵介さん、冨井大裕さんだけでなく、佐藤美子さん、杉浦央子さん、羽生佳代さん(川崎市市民ミュージアム学芸員)、成相肇さん(東京国立近代美術館主任研究員)、林卓行さん(美術批評・東京藝術大学准教授)となっていますので、充実の内容になっていそうです。
実物のギャラリー展示、WEB上での公開、資料としての本での公開と、様々な方法でこの状況を共有できるような展開がされていて必見です。
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INFO
近藤恵介・冨井大裕「あっけなく明快な絵画と彫刻、続いているわからない絵画と彫刻」
会場:LOKO GALLERY
会期: 2023年3月9日(木)~4月9日(日)
開館時間:11:00 – 19:00 / 日曜;12:00-18:00
閉廊日:月曜・火曜・祝日
WEB:https://lokogallery.com/archives/exhibitions/plainandsimplepaintingandsculpturethatcontinueslikeanenigmainthebackground