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  • 大竹伸朗「大竹伸朗展」- 国立近代美術館

    大竹伸朗「大竹伸朗展」- 国立近代美術館

    大竹伸朗:宇和島駅

    大竹伸朗さんの「大竹伸朗展」を観に国立近代美術館に行ってきました。

    大竹伸朗さんの伝説の展覧会「全景」展から16年ぶりの回顧展で、楽しみに行ってきました。500点というとても大量の作品数ですが、以前の全景と比べると(比べる意味はないけど)流石に少なく感じましたが、それでもすごいボリュームの展覧会です。

    「全景」展の時と同じく、今回も入口で宇和島駅が迎えてくれます。そして「Documenta 13」で展示されたモンシェリーを筆頭に、大きな作品も多数展示され、「ヴェネチア・ビエンナーレ」と同じようにスクラップブックも全て展示されています。キーとなる展示を引用しつつ、平面も立体もあり、圧倒的なエネルギーや時間を感じることになります。(かつて行ったDocumenta13の記事はこちら。

    大竹伸朗:モンシェリー:スクラップ小屋としての自画像

    今回の展覧会は、作品が時系列に並べられるのではなく、「自/他」「記憶」「時間」「移行」「夢/網膜」「層」「音」という、7つのテーマに分類されています。分類は一応されていますが、テーマが重なったり横断することもあり、混ざり合って展示されています。

    水戸芸術館で開催されたビル景などを例にしてもわかるように、1つのテーマでも美術館をいっぱいにできる作品数があるはず。なので、まだまだもっとたくさん観たいという気持ちになります。

    作品の大きさだけみてもモンシェリーは美術館の天井に突き刺さっているし、その他の作品も天井ギリギリまでの作品も多く、一般的な美術館という空間には収まり切らないスケールの作品ももっとあるのでは?と思わせられました。

    そういう意味では、直島のような野外であったり、建物ごと作品のような、自由にひらけた環境の方が大竹さんにはあっているのかもしれないと思ったりもします。

    現代美術だとコンテクストが複雑なものもある中で、大竹さんの作品はもっと直感的または原始的とも言えるようなものが多いように思います。

    それはテーマになっているものからもわかると思いますが、時間や記憶や音などのような、誰にでもあるようなものを堆積させて作品にというところか、作品を直感的にしているようにも思えました。

    大竹伸朗さんの作品は、コラージュやアッサンブラージュがされているものも多く、それがサンプリングやリミックスのように、切り取られ、編集され、貼り付けられ、使われていくという部分を核に観ていくと作品の導入として良いかもしれません。

    スクラップブックが、その傾向が最も分かりやすいと思います。コラージュなどが圧倒的な、量、時間、堆積となり作品を構成しています。

    もちろん、それだけではなく、ドローイングのようなものや、版画や、コラージュを剥がした痕跡のような作品など、積み重ねていくだけではないシンプルな作品もあり、作品の種類は多岐にわたります。

    ニューシャネルも、ただそこにあったドアを切り取り使い方/見せ方を変える事で新たな作品としてしまうなど、サンプリングと近い手法にも感じます。

    このニューシャネルからさらに発展させて大竹文字と言われるフォントまで展開させていくこともまた、リミックスの発想に近い手法に感じます。

    日本景、ぬりどき日本列島などのシリーズもサンプリング的な手法ですし、様々な部分から何気ないものを作品として変化させられる審美眼のようなものを感じます。

    ダブ平の名前の元になっているDUBという音楽もそんなサンプリングやリミックスを中心とした音の加工も含めた手法。音楽も作品としている大竹伸朗さんらしい手法とも思えます。

    一見まるでゴミのような素材を、その選択眼・審美眼により見極め堆積させ・混ぜ合わせ、新たな作品を生み出していく、そこに尋常ではないエネルギーが詰まっていることが感じ取れます。

    圧倒的なボリューム、スケール、時間、堆積、などなど、そこにあるものを受け取るだけでも作品が成立するので、難しいことを考えずに身を任せて観られる展覧会です。誰にでもオススメです。まずは、そのエネルギーを感じてください。

    PHOTO

    BOOK

    INFO

    大竹伸朗展

    会場:東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー、2Fギャラリー4
    会期:2022年11月1日(火)~2023年2月5日(日)
    休館日:月曜日(ただし1月2日、9日は開館)、年末年始(12月28日~1月1日)、1月10日(火)
    開館時間:10:00-17:00(金曜・土曜は10:00-20:00)
    *入館は閉館30分前まで

    公式WEB:https://www.takeninagawa.com/ohtakeshinroten/
    東京国立近代美術館WEB:https://www.momat.go.jp/am/exhibition/shinro-ohtake/

    巡回展: 
    愛媛県美術館 2023年5月3日(水・祝)―7月2日(日)
    富山県美術館 2023年8月5日(土)―9月18日(月・祝) [仮]

    OTHER

  • パウル・クレー「おわらないアトリエ」- 東京国立近代美術館

    パウル・クレー「おわらないアトリエ」- 東京国立近代美術館

    パウル・クレー「おわらないアトリエ」を東京国立近代美術館(MOMAT)で観てきました。

    クレーが今までどのような流れでどのようにして作品を作ってきたかがよくわかる様な展示でした。わかりやすいように展示してあったからなのか?評判がいいのか?平日に行ったんですが、かなり人が多かったです。クレーってそんなに人気の作家だったのか・・・。とにかく流れがよく細かく展示してあったので、クレーという作家の見方がわかった様な気がしました。

    ただ一つ気になったのはバウハウスで講師をしていたと思うし、その時期を境にちょっとだけ作風に変化が起きているんですが、そのあたりの変化の下りについては全く説明がなかったのが不思議でした。なんでだろ?バウハウスのことは禁句なのかな?

    ドローイングのような作品や、作品の途中過程というものの考え方、時間の捉え方、作品というものの考え方とかをしっかりと考えつつ向き合って新たな手法を模索していったという足跡が非常によくわかったような気がしました。作品の作り方に言及していたり、なかなか面白い展示でした。

    BOOK

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  • ウィリアム・ケントリッジ「歩きながら歴史を考える そしてドローイングは動き始めた……」- 東京国立近代美術館

    ウィリアム・ケントリッジ「歩きながら歴史を考える そしてドローイングは動き始めた……」- 東京国立近代美術館

    東京国立近代美術館でやっていた、ウィリアム・ケントリッジ 歩きながら歴史を考える そしてドローイングは動き始めた……を観に行きました。ウィリアム・ケントリッジは南アフリカの作家で、これだけの作品が集まるということはないのではと言われているそうです。

    作品は基本的には実写とドローイングが混じり合った動画ものがメインのような気がしました。ドローイングが本当のドローイングって感じなんですが、でも、それがアニメーションになって動き出しているという初期の作品がいくつか展示されていて、それだけでものすごい作業量と手間を感じていたんですが、その後、白黒動画とドローイングをあわせたものなり、手書きアニメーションより進化して、最終的にはカラー動画と交わったり、その他の立体視や鏡を利用しれ作品なども取り入れ始めようとしているようでした。

    動画だけ全部観ても2時間はかかるとの事で、全体的にボリュームが多かったですが、実験映像という印象で面白かったです。もうちょっと作家の背景とか作品がどういう状況で作られたかなどの知識があったらより楽しめたかな。それでも面白かったです。

    BOOK

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  • 「コラージュ – 切断と再構築による創造」- 東京国立近代美術館

    「コラージュ – 切断と再構築による創造」- 東京国立近代美術館

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    コラージュ -切断と再構築による創造を観に東京国立近代美術館へ。

    とはいえ、扱いもちょっと小さくて、おいてあるものも絵画的視点からで、最近のものも少しありましたが、歴史を追いかけていくというかたちで、コンセプトは良いんですけど、広い範囲を取り上げすぎな気が。

    切断と再構築による創造って言うけど、それについてあんまり言及している感じはしなかった。手法として面白いという感じはありましたが。が、いまいち不完全燃焼な展示でした。

    一緒にやっていた横山大観《生々流転》は、大作を見れて面白かったです。