奈良美智さんの「for better or worse」を豊田市美術館で観てきました。
奈良さんの今までの流れをすべて汲んだような、総決算的な展覧会だったように思えました。その昔横浜美術館で見た時の印象が強く、その後も展覧会ではないけども作品は単品で観てきましたが、今回の展覧会はすごく静かな雰囲気だったように思いました。
それも、事前に村上隆さんの展覧会についての投稿を読んでしまったから、かもしれないし、そうでないかもしれない。または、ブラッドサースティブッチャーズの吉村さんに向けたものがいくつかあったというころでそう思ったのかもしれない。とにかくPOPにキャッチーなという横浜で感じたそういう部分よりも、奈良さんの今までの流れとそして現在とても静かだけども力強い作品になるまでの過程を見たような気がしました。
豊田市は写真の撮影は禁止だけれども、奈良さんのインスタグラムに画像や動画が投稿されていたりするので、気になる方はインスタグラムをチェックするといいと思います。
あと、今回すごく思ったのはとにかく展示が上手い。作品点数がそれほど多くないとはいえ、大きな作品もたくさんあるし、すごいボリュームがある。展示が上手くて、物語を見るように行間でも楽しめるようなそういう展示ですごいなと思いました。自分のバックボーンとなる部分の導入から、初期の無邪気でいたずらっぽさのある雰囲気から、いろいろなことを考えたり、いろいろなところで火がついたり、いろいろな共同作業をしたり、そこから少しづつ静かな大人になっていくような物語のような。最終的に肖像画のような作品ばかりになって目の力と少しの表情だけで多くのことを伝えるようになる今まで。とにかくいい展示でした。
現在の奈良さんまでの回顧展のような展覧会なので、必見だと思います。(とはいえ、実は総決算と思いつつ、最近の奈良さんの陶芸とかの面は出てない気がするんだけど、それはそれで、物語が完成してたから、総決算的であることは間違いと思います。)